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顔つきの跳ねる球【コンパクト レトロ】

 8月13日、祖父の命日にこれを受け取った。これは祖父の経営していた喫茶店にたった一つだけ置いてあったものだ。こんなもの探せばたくさんあるだろうと思っていたが、一つ祖父の話を思い出した。
「この世にいくらでもありそうなものでも、その場所に一つしかないものは、その場所では絶大な価値があるかもしれん。あるいは、誰かの念が詰まっている、念がずっと存在し続けられる容器のようなものかもしれん。特に顔のあるものはな」
 視線を感じる。もしこの球体に念が詰まっているのだとしたら、どうしてこんなに笑っているのだろうか。もう一度球体を見ると、さらに口角が上がっている気がした。

キュレーター 音井 奏介(中学2年)

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