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永久機関【コンパクト レトロ】

 現代の科学では不可能とされている永久機関を、政府の命令で研究していた物理学者がいた。研究の結果、その物理学者は現代と同じ様に不可能であると証明した。そして、無知な作業員の一人が試作品の一つを持ち帰り、それを永久機関として見せ物小屋に売り払った。科学を知る人間はそれを見てペテンだとすぐに気づいたが、大衆はそれを信じた。何しろそれは元々の試作品にゴテゴテとした歯車やらコイルなどを装飾として付けて、もっともらしい姿に改造されていた体。それは瞬く間に有名となったが、見せ物小屋の建物の崩壊により永久機関の大半は壊れてしまった。この棒状の物体はその永久機関に使われていた歯車のパーツの一部だ。余談だが、この見せ物小屋の永久機関の噂を聞き、政府はまた別の科学者に永久機関の研究を命じたそうだ。

キュレーター 井上 大志(中学3年)

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