見出し画像

純白のパスケース【コンパクト レトロ】

 このパスケースはあの高度成長期の輝かしい時代に、ある一人の革職人が仕上げた最高級品だ。金持ち達がこぞって手に入れようとし、闇オークションにかけられたり、星の数ほどの泥棒や暗殺者が送り込まれたりした。そんな中、無精髭を生やした小汚い泥棒がこのパスケースを手に入れた。その泥棒は「こんなものあるから俺の人生はダメなんだ!!」と言い放ち、床に叩きつけ、何回も踏みつけた。パスケースはぼろぼろになってしまった。その瞬間、誰もパスケースに見向きもしなくなった。その後、次第にそのパスケースはわすれ去られてしまった。

キュレーター 行田 人(中学2年)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?