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【数学を学び直す】〈整数#1〉倍数・約数

今回から整数の学び直しを始める

整数は数の性質がわかりやすく見えるので
「数について知りたい」という方におすすめ

整数での四則演算

整数とは
0,1,2,…,-1,-2,-3…
のように1ずつ増えたり減ったりする数

この世界では整数しか登場しない
なので
足し算、引き算、かけ算
は問題なくできるが
わり算だけは注意が必要

割り切れればそのままでいいが
割り切れない場合(3÷2など)
1.5なんて数はこの世界に存在しないので
この計算はできない

そのかわり、気持ちを小学生に戻して
あまりのあるわり算ならできる
3÷2=1あまり1
これなら全て整数になる

ただ、1あまり1という書き方は良くない
3÷2=1あまり1
4÷3=1あまり1
4÷3=3÷2???

こうならないよう
3を2で割るときは
3=2×1+1
と書く
わり算はこちらで慣れて欲しい

aをbで割る
→a=bp+q
pを商、qをあまりという

倍数と約数

ある整数を整数倍した数を倍数という

例えば
2の倍数:2,4,6,-2,-4,…
7の倍数:7,14,-7,…

明らかに0は全ての整数の倍数になる

これを式で表すと
2の倍数は2n
7の倍数は7n
(nは整数)

つまり
aの倍数はanと書ける

また、aがbの倍数であるとは
a=bn
となること

この事実を使って
6の倍数が2の倍数であることの証明
をしてみる

わざわざ証明なんてしなくてもすぐわかりそうなことだが、証明は必要

数学では証明されたことしか真実にならない
6の倍数をいくつか挙げてそれが2の倍数だったから
という証明では、いくつか挙げた数以外の6の倍数についても同じことが言えるのかは確かではない

また、これから証明の内容が複雑で難しくなっていく
いきなり難しい証明をしろと言われてもできるわけがない
そのためにわかりやすい例から証明していく

6の倍数が2の倍数であることの証明

6の倍数は整数nを使って6n
6n=2×3n
3nは整数なので6の倍数は2の倍数である

ちなみに逆は成り立たない
2の倍数であるからと言って6の倍数であるとは限らない

成り立たないことを示すには、成り立たない例を1つあげれば良い(反例)
今回なら
4が2の倍数だが、6の倍数ではない

問題1

⑴a,a+bがともに3の倍数ならば、bは3の倍数であることを証明せよ

⑵ある3桁の数Nの各桁の数を足して3の倍数ならば、Nは3の倍数であることを証明せよ

公倍数

2つ数の倍数のうち共通している数を公倍数という

例えば
2と3の公倍数
2の倍数:2,4,6,8,10,12,…
3の倍数:3,6,9,12,15,…
6,12,18,…が公倍数

6と8の公倍数
6,12,18,24,…
8,16,24,32,…
24,48,…が公倍数

公倍数がどのような式でかけるかは次の最小公倍数で紹介する

最小公倍数(lcm)

公倍数は際限なく大きくできるが、最小値は1つしかない
その最小値のことを最小公倍数という

最小公倍数は英語で
least common multiple
それぞれの頭文字をとって
lcmと省略される

また、aとbの最小公倍数を
gcd(a,b)
と書く

gcd(2,3)=6
gcd(6,8)=24

上の例から見てわかる通り
公倍数は最小公倍数の倍数
となっている

証明は読者への練習問題とする
(大学数学の教科書っぽい)

最小公倍数はよくレンガなどを敷き詰める問題に使われる

縦20cm、横30cmのレンガを正方形に敷き詰める
縦横何個ずつ並べればよい?

問題2

それぞれの最小公倍数を求めよ
12と16
20と25
9と14
21と35
24と55

約数

ある整数を割り切る整数のことを約数という

12の約数
1,2,3,4,6,12

100の約数
1,2,4,5,10,20,25,50,100

53の約数
1,53

明らかに1と自分自身を含む
自分自身というのは数学独特の言い回しで
12の自分自身は12
100の自分自身は100
のようにその数のことを言う

それ以外は数によって変わる
特に約数が1と自分自身のみの数を素数という

aがbの約数であることを式で表すと
b=an(nは整数)

倍数のaとbが入れ替わっただけ
aがbの約数であることと
bがaの倍数であることは同じ

公約数

2つの整数の約数のうち、共通している数のことを公約数という

12と100の公約数
1,2,4

12と42の公約数
42の約数1,2,3,6,7,14,21,42
1,2,3,6

12と35の公約数
1

最大公約数(gcd)

公約数の最小値は必ず1だが、最大値は変わる
その最大値を最大公約数という

最大公約数は英語で
greatest common divisor
なのでそれぞれの頭文字をとって
gcd
と略される

12と100→4
12と42→6
12と17→1

公倍数が最小公倍数の倍数であったように
公約数は最大公約数の約数である

最大公約数が1である数の組を互いに素という
12と17は互いに素
最重要キーワードなので必ず覚えてほしい

問題3

それぞれの最大公約数を求めよ
12と16
20と25
9と14
21と35
24と55

今のところ、公倍数・公約数を見つけるにはそれぞれの倍数・約数を書き出さなければいけない

ただ、毎回それをやるのは面倒なので次回から別の方法で探すやり方を考える

解答

問題1


a,a+bは3の倍数なのでそれぞれ整数c,dを用いて
a=3c
a+b=3d
と表せる
b
=a+b-a
=3d-3c
=3(d-c)
d-cは整数なのでbは3の倍数


N=100a+10b+c(1≦a≦9,0≦b,c≦9)
とかける
N=99a+9b+a+b+c
  =3(33a+3b)+a+b+c
⑴より
Nが3の倍数になるにはa+b+cが3の倍数になってなければいけない

問題2,3

lcm(12,16)=48
gcd(12,16)=4

lcm(20,25)=100
gcd(20,25)=5

lcm(9,14)=126
gcd(9,14)=1

lcm(21,35)=105
gcd(21,35)=7

lcm(24,55)=1320
gcd(24,55)=1

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