見出し画像

03 Love Song 探して

「しがない じゃん!久しぶり!お前、今東京なの?」

過去は振り返らないがモットーの しがないは、基本的にリア友とネットでつながるということをしなかった。リアルとネットを分けている・・・というよりも、ネットがリアルみたいなものになっていたので、リアル=現実 を感じることが苦手だった。
自分の過去を知っている人間、すなわち自分のやらかしたことや今よりももっと未熟な自分を知っている人間ということで、掘り返されるのが耐えられなかった。だから、しがない は過去は振り返らないし、なんならそういう人間と関わりたくない。

だから、一応開設していたfacebookは自分が許せる範囲の、自分の過去を知っている友達と薄くつながっているツールと化していたし、年に1度するかしないかのログイン頻度だった。

そんなしがないの前に立ちはだかった試練、それは『マッチングアプリに登録できる友達の人数にすること』・・・難しすぎませんか、ロマンスの神様・・・!キーの高さぐらい高すぎるハードルに、早くも挫けそうになる しがないのfacebookアカウントに、1通のメッセージが届いた。

「今度東京にいる奴らで飲みにいこうよ!全員既婚者だけど。」
中高の男友達からである。

皆さんは、友達申請を間違えてOKしたことがあるだろうか。

しがないは、極力、過去の友達とはつながらないスタンスを持っていたが、過去に特に仲良くもなかったけどグループ同士仲の良かった友達?みたいな距離感の女友達から申請が来ていたのを、酔った勢いなのか、酔っていたからか深夜にOKしたことがある。
まぁ別に向こうも連絡を取ってこないだろうし、特段嫌いでもないし、私からはあまり情報を発しないし…と、軽い気持ちでOKしたら、そこから辿ってきた仲の良かった過去の男友達に見つかり、友達申請とともにメッセージが送られてきたのである。

友達の人数が一人でも欲しい…!増やさなきゃ…!

もろもろの葛藤の末、とにかく飲み会で(facebookの)友達を増やすしかないと、自分の恥ずかしい過去を知る男友達3人と飲みに行くことを決意。


「お前、付き合ってるのがバレて担任に呼び出し食らってたよなー」
「交換日記を授業中に書いてたのが見つかって怒られてたよなー」

など、案の定、恥ずかしい過去をほじくり返された飲み会で負傷しながらも、無事facebookの友達をゲットしたしがない。
しかも、そのうちの1人がまさかのマッチングアプリ婚を成し遂げていた・・・!こんなところに先達が・・・!

やっと、ひのきのぼう と ぬののふくをゲット。
おまけに「もうちょっと痩せたらモテるのに」という言葉までゲットし、ついに魔王を倒すためマッチングアプリの大海原にでる。


このあと、マッチングアプリの洗礼を受けることになることを、このときの勇者しがないはまだ知らない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?