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2021年3月に読んだ本

楽しい夜/岸本佐知子・編訳

ミランダ・ジュライやルシア・ベルリンの作品で切れの良い翻訳を手掛ける岸本佐知子さんにより編まれた短編集。奇妙で滑稽なんだけど苦くて切ない作品群は一晩に一つづつ読むのがちょうどよく、11ある作品を11日かけてゆっくり味わうように読めた。

生まれ変わり/ケン・リュウ

ケン・リュウ短編傑作集の5巻目。1〜4巻までと比べると軽いタッチの小品・習作が多く、ケン・リュウという作家の興味や可能性を良く知れる作品が多かった。

もしもし運命の人ですか/穂村弘

歌集『シンジゲート』のほとばしるかっこよさから「ほむほむワールド」と評されるようなエッセイまで作品の幅が広い。20代の後輩からオススメされた本だけど、もし自分が20代のころに穂村弘に出会っていたら、良いか悪いかさておき、とにかくもっとハマっただろうと思う。

だいちょうことばめぐり/朝吹真理子

人間のわけの分からなさを見事に掬いとるエピソードが多く、皮膚の一枚内側・記憶の一層深いとこを、めくるようなひそやかな痛みと快感を味わえる一冊だった。家族が出てくる話がどれもとても良かった。

マイノリティデザイン/澤田智洋

「強さで戦うのをやめる」という決断。「自分の中にある弱さのためにもっと時間を使う」という転換。福祉やマイノリティやデザインへの興味あるなしに関わらず、生きていくことについて多くのことを考えられる良書だった。

身体のホームポジション/藤本靖

腰痛を解消したくて色々見ていたら「ロルフィング」というものを知り、たどり着いた本。ロルフィングのことは詳しく書いていないけど、自分の身体をしっかりと感じること・内側の感覚に気づくことが重視されていて、なるほどなるほどーと実践しながら楽しく読めた。こうした大事なことを体育の授業とかで教えてほしい。

ゆるめてリセット ロルフィング教室/安田登

結局ロルフィングは実践できていないけど「ゆるめてラクにする」という考え方や「アウェアネス」という気づきのためのステップが沢山あるワークの方式が様々なことに転用できそうで良いなと思った。

日本人の身体/安田登

能に和歌、古事記に漱石、ホメーロスから荘子に芭蕉と、古今東西の文献を縦横無尽に繰り広げながら日本人の身体を語っていく。語り口も面白く、色々と勉強になる一冊。

あわいの力/安田登

上記『日本人の身体』の前著にあたる本。特に十章、芭蕉や定家の句を例とした「ないものを見せる歌」の箇所、俳句が三十一文字で表現している光景がよくわかり、その広がりと余韻にぞくっとした。

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