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2021年ベスト映画 - The Best of Movies 2021

今年はMUBIのおかげで良い映画をたくさん観れた。トルコのペリン・エスメルやインドのアミット・ダッタのような素晴らしい映画監督を知ることができたのも嬉しい。ブライアン・イーノがインタビューで言っていたのを真似して、なるべく色々な国の映画を観るようにしている。映画を通して自分が知らなかった美学に触れることができるのが喜び。

SOMETHING USEFUL / ペリン・エスメル

マスターピースという言葉がぴたりと当てはまるような完璧さ。テーマ、ストーリー、カメラ、役者、音楽、、映画を構成する一つひとつの要素がジグゾーパズルのようにきっちりと噛み合い調和している。窓をシンボルとして使った演出もオープニングからラストカットまで素晴らしく、静かに深く感動した。物語中で読まれる詩も素敵だった。

ECHO / ラグナー・ルーナルソン

寂しく美しいアイスランドの風景。壮大な大地の上で繰り広げられる小さな日常。物語らしい物語はないけど、一つひとつのシーンがどれも愛おしく描かれていて、ECHOというタイトルの通り各シーンが響き合い共鳴している映画だった。

SEVENTH WALK / アミット・ダッタ

今年観た映画の中で最もマジカルな驚きに満ちた映画だった。映像詩として物語を語り、遠くへ遠くへと観客を連れて行ってくれる。こうした体験が出来るから映画を観るのを止められない。

GAMAK GHAR / Achal Mishra

全カットがポストカードになる圧倒的なカメラワークの美しさ。そして素晴らしきフィールドレコーディングとサウンドデザイン。映画のクレジットの最初に出てくるのが「Colorist」というのも新鮮な驚き。監督のインスタも最高。

長江哀歌 / ジャ・ジャンクー

超骨太。かつマジカル&ポエティックな作品。果たして映画に何が出来るのか?と問われれば、この映画が回答のひとつだと思う。ラストカットは映画史上に残るベスト・オブ・ラストカットの一つじゃないでしょうか。

FAREWELL AMOR / エクワ・ムサンギ

アメリカへ移民として移住するタンザニアの家族の物語。だけどこれはアフリカ移民の話でも、家族の話でもない。父親、母親、娘、それぞれの孤独と、それぞれの闘いが描かれていて全く違う境遇にいる自分でも強く感情移入できた。音楽とダンスシーンも最高。

恐怖分子 / エドワード・ヤン

かっこ良すぎて鳥肌が何度も立った。サムネイルだけでも最高じゃない?まだ『牯嶺街少年殺人事件』を見ていないので、早く見たい。

SONGS MY BROTHERS TAUGHT ME / クロエ・ジャオ

『ノマドランド』でアカデミー賞を受賞したクロエ・ジャオ監督のデビュー作。『ノマドランド』や『The Rider』も好きだけど、1番心に強く残っているのはこのデビュー作。誇りや尊厳、さらに言えば魂を損なわずに生きることについての映画だと思う。

昔々、アナトリアで / ヌリ・ビルゲ・ジェイラン

まるで古代の遺跡郡のような美しきアナトリアの風景。そこで生きる人間の可笑しみと悲しみ。淡々と物語が進む中で、幻想とリアリズム、過去と現代が1つに溶け合っていくようで、忘れられない夢のような映画体験だった。

春江水暖 / グー・シャオガン

この作品を観ているあいだ終始幸せだった。川沿いを若い恋人達が歩き、会話し、泳ぎ、また歩いていく姿を捉えた長回しは圧巻。川の流れのように絶えず移り変わることと、変わらないこと。そして繰り返される自然の営み。それらを大きな優しい眼差しで捉えた傑作。


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