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二羽の雄鶏の話

雄鶏は仲間が食事をしているときは自分は食べずに,すっくと立って警戒を怠りません.その立派さにいつも私は感動します.私は雄鶏が大好きです.

2007年のある日突然,2羽の雄鶏が公園に現れました.誰かが捨てたのでしょうね.実は,雄鶏はネコよりもずっと強いのです.夜は木の枝に上って寝ます.野良の雄鶏二羽のたくましく生きるさまを私は毎日楽しみに見ていました.ところが,この筋肉隆々で立派な雄鶏が,公園出口のアオキの生垣の前に立っているのです.3月3日のことでした.雄鶏が放し飼いになっているのも変ですが,どうして公園の外まで出歩くようになったか不思議に思いました.数日後も,私が通ると,雄鶏たちはまた同じところにいるのです.雄鶏は茂みの奥を警備しているようです.茂みの奥に傷ついた雌鶏が隠れているのを私は気づきました.覗き込むと白っぽい肌色の羽毛の雌鳥が座っています.じっと座っていて弱っているようです.カラスが来ると雄鶏が追い払います.猫やカラスから雌鳥を守っているようです.心配そうな目をしているので私も心配になります.食べ物を持って行ってやらなければ.私も心配で朝夕ここを通って見まもりました.1週間経過し,やはり動かないが隠れている.餌も水も鶏は運べないのでかわいそうです.水代わりにりんごをあげるが一寸つっついただけで役に立ちません.雄鶏は二羽この前に立って心配そうにしている.善良な鳥達だ.それから1週間が経過した朝,茂みの中で雌鳥がかなり速く歩いているのを見ました.弱ってはいない.元気そうで良かった.2週間後,雌鳥も雄鶏と一緒に少しだけ外にも出るようになりました.二羽の雄鶏たちも新しい仲間に喜んでいます.でも,雌鳥はやはりおどおどしてすぐ隠れがちです.どこから来たのか,そして,怖い目に会ったのだろうか.雌鳥は茂みの中の地面に座っている.雄鶏二羽はその前の道に立ちいつも護衛しています.偉いものだ.なぜだろう.卵を孵すのかな,まだ卵は産んでいないようなのだが.昼間,三羽そろって公園の草むらを歩くのを時折見かけます.今年は暖かい.この出来事の間に,桜が満開になり,そして散ってしまった.4月始めになると,少し離れた竹やぶにも雄鶏が出没するようになり,雌鳥は茂みの中に座っていたり見かけなかったりの日々がありました.雄鶏は道に立たなくなり,茂みの中に雌鳥はいない.来た時のように突然消えてしまった.二羽の雄鶏は何事もなかったようにまた公園の草むらを悠然と歩いています.おまえ達はどうした.悲しくはないのか.雌鳥はどうしたんだろう.三羽で幸せそうだったのは,桜が咲く10日くらい前から桜が散つた後の10日くらいの期間でした.

5月ゴールデンウイークも好天気にめぐまれ無事終わった.池にはたくさんめだかが泳ぎ昼ごろに白いはすとピンクのはすの花が咲く.4羽くらいの鴨が1列になって泳ぐ.鳩がたくさん草むらにいてすぐ人によってくる.2羽の雄鶏はゆっくり悠々と歩く.けずめが太くとがっている.足も太い.悠々と歩く.羽はオレンジがみごとな光沢.胸を張って肩をもりもり,隆々と張り.静かな穏やかな目をしている.胸をはり羽の付け根を一寸隆々と持ち上げ,くちばしを起こし鳴くコケコッコー.昼下がり.二羽はよく似ている.きっと兄弟だろう.しかし,完璧な「コケコッコー」と鳴く一羽と,もう一羽の方は「コケコッ」で一寸と支えてから「コ」と下手な鳴き方だ.雄鶏は気高い.悠々としている.すっくとたってあたりを見ている.草を食べる.仲が良く決して喧嘩などしない.養鶏場でも800羽の雌鳥の世話をして,外敵から見張っている.5月30日

朝夕,雄鶏の顔を見に行く.いつもの場所に見当たらない時も付近をうろうろすると雄鳥が出てくる.赤い瞬きしない目でじっと見つめる可愛いものだ.立ち去ろうとするとついてくる.少し歩くとバサと音がして左ズボンにあたる.オット雄鳥の脚を踏んだらたいへん.飛びついてきたのは声の悪い方だ.なわばりに入らぬよう威嚇してきたのだと思う.立ち去りがたいが何もしてあげられず去る.雄鶏は夕暮れが近くなると木の枝に上がってねるのだ.これは声のいい方.悪いほうは何処で寝るのか知らないが,多分,どこかの木の枝に登るのだろう.

昨日は,二羽の鴨が拳骨ぐらいのまだ毛がやっと生え揃ったばかりでぼさぼさのコガモを連れて泳いでいるのを見た.コガモは蓮の葉の上に上っていく.親鴨たちは心配そうに見ている.今年のコガモは1羽だ.鴨も少子化か.夕刻に岸近くにおもちゃのモーターボートのように小刻みに泳ぎ回り泥をほり返し遊ぶコガモと,泥に脚を立ちくちばしでかき回してみせる鴨の親子がいた.この池にはカメがたくさんいる.小さい小亀はたくさんいることも今日の昼に気が付いた.
雄鳥は草を食べたり歩き回ったりしている.2羽仲良く呼び合っている.でもさびしそう.クリーム色の弱弱しい猫がこれを見ている.雄鶏のほうがたくましく猫も襲う様子もないが,雄鶏が弱ってくると大丈夫か心配だ.雄鶏は,すっくと立って訴えるように小さい赤い目をまばたきせずこちらを見つめる.この眼はこの公園での出来事を皆知っている目だ.6月8日

雷や強風の天候の宵があった.夕暮れに雨を避けるように木の下の茂みに,じっと立っている雄鶏がいた.寒そうだ.強風の嵐模様の時には木の枝に上る訳にもいかないのだ.もう一羽の雄鶏はどこに隠れているのだろう.日差しの強い日中は鴨の夫婦が草むらに座っているのを見たし,まったく汚れのないハスの花がまぶしい.今年も,大きな菖蒲やカキツバタが咲き揃った.


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