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ランドリーピクニック2023雪

洗濯物ができない。
洗濯機がない。手洗い。
脱水がない。お日様かつ午前中でないと。
なんせ部屋が寒すぎると思って外を見たら、雪が降っていた。

やっとひまになって、しゃーなしでコインランドリーに向かう。
べつに忙しくもないけど、コインランドリー行くならこれくらいまとまった時間がないとってな感じの感じ。
映画は途中で止めらんないし。小説もできれば一撃で読みたいし。漫画は途切れたら最初から読み直していつまで経っても読み終われないし。降りたい駅の前後でうっかり寝過ごしていつまで経ってもたどりつかないあの感じ。ほんとは往復分の電車賃かかるとかは。たとえ話なんで。何卒。
たいじな考え事する時も何時間かどっさり時間が欲しい。取り掛かるまでのまごまごしてる時間も含めてどっさりの時間。あーでもないこーでもないとやってるうちに余計なことばっかり浮かんできて、「どうしてこうなっちゃったんだろ」みたいなところに立ってる。ひとりならではの贅沢な時間。人のための時間を用意できる人はすごい。すきま見つけてスッと集中する。すごい。

洗濯物をコストコのどでかい袋に入れてかつぐ。コインランドリーは近い。中に入ると信じられないくらい暖かかった。洗濯機に洗濯物を詰め込んでぱんぱんになりやや不安でスタートする。”4人家族で2日分“なら回せると書いてある。東京ドーム2個分くらいピンとこない。いけるだろうと思ったら行けて安心した。
ところで「こんなに暖かいなら日常的にここにくれば暖かいのでは!名案だ!」と想像したその瞬間、完全防寒装備のメガネのおじさんが入ってきた。水筒とビニール袋を机に置いてどこかに消える。洗濯物でも取りにきたのだろう。見たところ、どれも回ってないからたぶん机の下のトイザらスとIKEAの袋の人だと決めつけてみた。完全防寒おじさんは帽子と目出し帽を脱いで不完全防寒おじさんに変身していた。おもむろに水筒とビニール袋の中身をもぐもぐしだした。机の座る方向、みんなが大体座る向かって左右方向に広く使える方向に置いてある椅子をわざわざ移動して横幅が狭くて縦に長く使いをしている。曜日で使う机の辺を決めているのかその日の気分かそれ以外か。
なるほどここにきて飯を食いだすとこのようにみえるか。と思い。すこし嫌だなと思った瞬間、だんだん暖まり満腹おじさんは身支度を始めて、真の完全になって外の世界に飛び出して行った。

このコインランドリーはイメージしたことを即座に実現する空間なのかもしれない。そう言われてみると(誰に言われたわけでもないが)観葉植物とテーブルが異常にでかい。そのわりに、ソファの背もたれが小さい。これも先人の誰かが何の気無しに想像して気に入って、そのままにして帰ったのかもしれないと思うと最近のセンチメンタリズムにも理由ができた気がした。

乾燥機のアラームが鳴っている。もう濡れていないことを願いながら確かめると、しっかり濡れていた。

100円を入れてもう一度回す。
外はまだ雪が降っていた。


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