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今は新幹線の中で

年が明けたとき、嫌な気分になった。さっきまで年末に向けて良いお年をと言っていたのに、とたんにおめでとうと明るくなる世界に毎回戸惑いと気持ち悪さをおぼえる。どうしたらいいかわからない。明日起きたら苦手なおせちとあんまり好きじゃないお餅が入ったお雑煮を食べて、どこかにお参りするのに並ぶのかと思うと、早くこの時間が過ぎていつも通りになってほしいと思う。
お正月はなぜかいつも晴れていて、それだけが救いな気がする。去年も友達とお寿司を食べながら、天気の話をした。晴れていてよかった。

母が用意した七草粥を少しだけ食べて、もう1週間かと思いながらバタバタと友達の家に出かけた。3年ぶりに会う友達との約束の時間を過ぎてから起きて、年に1.2回ほどする寝坊をまさかこの日にするなんて思わなかった。結局早めに待ち合わせていたのに2時間遅刻してしまった。

三連休に入れた弾丸旅行は、取った新幹線の日付を間違えて切符が使えなかった。ものすごくショックだったけど、働いていてよかった。落ち込まないで済んだ。落ち込むと旅が楽しめなくなる。急いで買い直して、1時間遅れて着いた。どうしてもラーメンが食べたくて食べたけど熱すぎて舌を火傷した。観光の巡回バスの乗り方を間違えて行きたかったところを通り過ぎてしまったし、唯一知っていた銅像は修理中だった。見たかった美術館も閉館時期でなにもできなくてやるせない気持ち。途中で教えてもらった神社に初詣をして、おみくじを引いた。行きの新幹線の中でいろんな占いの上半期の結果を読んでいて、それとほぼ同じことが書いてあったから結ばずにお財布にしまった。バスは人があふれかえっていたから1時間歩いてホテルに向かった。意外と歩けると思ったけど少しふくらはぎがいたくなった。次の日に友達に連れて行ってもらったところは、5年くらい前に先輩とドライブをして寄ったところだった。きれいすぎていた町は、あの時よりずっと馴染んでいた。わたしが住んでいるところから陸が続いている。がれきがつみあがっていたあの日から、意識をしていないとわからないほどに時間が経っていた。車の中からサッカー場になった場所を見ながら日が沈むのを見ていた。

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