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今作の参考図書紹介

どうも、裕本恭です。

自己紹介も終わり、やっと創作ノートらしくなってきます。

どうしても今回、作品の性質上、個人の話によりがちなので、今日は客観的な資料をご紹介します。


さて、今作はちょっと名前の売れているAV女優が登場します。

今回、AV女優のことを調べるのにいちばん参考にした書籍はこちら。

鈴木涼美著の「AV女優の社会学-なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか-」です。

わりと有名な書籍です。サブタイトルの「なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか?」という疑問から、AV業界の仕組みや現代社会での生き方を考察されております。

就職活動で、おそらくほとんどの人が「自分とは何か?」と「何が求められているのか?」というのを考えることになりますが、AV女優もそこに漏れず、何度も何度も「自分とは何か?」と問い直す機会が出てきます。何度も語るうちにそれは洗練されていき、分かりやすいキャラクターが形成されていきます。また業界自体もそうなるように取り組んでいたりします。

今作に登場する女は、そんな背景から創り出しております。

AV女優が「これが私です。」という言葉は多くの男性を「そうかもしれない」という幻想をかきたててくれますが、案外、AV女優本人も「これが私です。」と思って発言しているのかもしれません。しかし、それは結局、業界内や社会から求められる声をもとに作られているので、それが本当に「私」なのかと問われると疑問が残ります。

フィクションとは?ノンフィクションとは?AVの世界観はフィクションですが、ノンフィクションが求められます。その境目の曖昧さというものは、現代社会におけるSNSでの在り方や職場での役割にも通ずるものがあり、いろいろと考えることが多いです。片方から見ると正論ですが、もう片方から見ると暴論になるといった、社会そのものの多様性をAV女優を軸に書き記しております。

この本の話だけで、記事が終わってしまいますね。

今作でいちばん伝えたいのは、「見えている部分が全部じゃない」ってお話かもしれません。誰しも様々な葛藤のなかで、闘っているんです。そこにフォーカスを当てたいと思い、描いた作品です。

今回は作劇の資料でした。次回は演出の企みに関して、お話したいと思っております。

深夜ガタンゴトン2020年夏の公演「消え残る」

どうぞ、よろしくお願い申し上げます。



深夜ガタンゴトンは2020年8月に新作公演を行います。以降、年2回のペースでの公演を考えております。それ以外にも「新しい気づきのプラットフォーム」をコンセプトに活動していきます。サポートよろしくお願い申し上げます。