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伝説の秘宝 第2話
Sゲームブッカー
途中、道端で小学4年生くらいの男の子がうつむいて泣いていた。事情を尋ねても泣き続けるだけで埒が明かない。ふと唸るような小さな声がして、周囲を見回す。
なぜか子犬が男の子に向かって体勢を低くして、威嚇の姿勢をとっている。このままでは男の子に噛みついてしまいそうな勢いだ。君は子犬を呼んで、男の子の前を通り過ぎて先を急ぐ。
しばらく進んでいると道は右に折れ、南の方へと続く。君は迷わず道を曲がる。
少し進んだところで一軒の家の塀が破壊されたように人一人通れそうな大きな穴が開いている。これも人類が後1週間で滅びるということに何か関係があるのだろうか。
君が横を通り過ぎようとしたそのとき、穴の向こう側から人の声のようなものが聞こえた気がした。人がいるなら秘宝について聞けるかもしれない。ふと唸るような小さな声がして、周囲を見回す。子犬が穴の向こう側に向かって体勢を低くして、威嚇の姿勢をとっている。中の人にだろうか。
それでも君が穴を通り抜けた瞬間、左の方から現れた何者かに左肩をつかまれる。すごい力だ! 君はその何者かの顔を見る。それは大人の男性だった。目はうつろで、顔が所々腐っている。
ゾンビだ! 強い力で肩をつかまれていて逃げることができない! 背後で子犬が何度も吠えている。君は身を守るために戦わねばならない。
君はふと肩をつかまれたときの護身術を思い出し、つかんでいるゾンビの右手を自分の右手で押さえ、体を右に回転させて倒れ込む!
ゾンビは右肘を極められた状態でうつ伏せに倒れ、投げられた衝撃で気絶したのか起き上がって来ない。君はこの隙に穴を通り抜けて道に逃げ出す。子犬が尻尾を振って君の勝利を讃えている。
君は辺りが暗くなり始めているのに気づき、腕時計を見る。7時30分を少し過ぎている。夜道を歩くのは危険そうに思えた君は、通りかかった公園で子犬とともに野宿をすることにする。
一番大きな大木の下に背負っていたリュックサックを置き、お腹が減ってきていた君は弁当箱を取り出し、箱を結んでいたハンカチをほどくと地面に置く。
君は弁当箱を手に持ち、2つずつ入れていたウインナーと玉子焼きをお箸で1つずつ広げたハンカチの上に置き、子犬と分け合う。君がご飯を食べる間、子犬は尻尾を振りながらそれを喜んで食べていた。
弁当を食べ終えた君はリュックサックを枕にして、大木の下に積もっていた落ち葉の上に寝転がる。子犬はそんな君のお腹の辺りで丸くなり、すぐに寝息を立て始める。君はそんな子犬を見ていると、家で飼ってあげたくなるのだった。そのためには両親に相談しなければならないが。君はそんなことを考えている間に眠っていた……。
次の日の朝、君は頬を舐められる感触で目が覚める。子犬が尻尾を振りながら舐めていた。リュックサックを背負い、公園を出ると、南へ続く道を子犬とともに歩き出す。
南への道を進む君は、頭頂部が禿げた、白髭に長く白い顎髭をたくわえた老人が一匹の狼とともに屋敷の中へと入っていくところを見かける。あの物知りそうな老人なら、秘宝について何か知っているかもしれない。クンクン鳴く声がして子犬を見ると、道に座り込んで耳をぺたんと寝かせ、少し震えている。どうやらあの狼が怖いらしく、ついてくる気配がない。
子犬を残して1人で玄関に向かい、呼び鈴を3回鳴らしたところでようやく老人がドアを開ける。君は今までのいきさつを話して、少しでも秘宝の手掛かりを得ようとする。
「その秘宝のことならわしは知っておるぞ。ふぉっふぉっふぉ。じゃが、簡単には教えられん。人生とはそんなに甘くはないものじゃ。こいつと戦って勝てたなら喜んで教えよう」
老人がそう言うと、屋敷の中からあの狼が牙をむき出しにしながら現れ、ゆっくりと君の前に進み出る! 近くで見ると、大型の犬ほどの大きさがあることがわかる!
負けたらきっと殺されるだろう。そうでなくても大怪我を負うはめになるに違いない。君は人類滅亡の危機を救うために自分の命を危険にさらすべきなのかを悩む。だが、そのためには秘宝の情報が必要だ。
決心した君が野犬に対する護身術を試す時が来たと狼をにらみつけ、身構えた瞬間だった。君のその気迫に押されたのか、牙をむき出しにしていた狼が急におとなしくなり、逃げるように屋敷の中へと戻っていく。
「あいつをおとなしくさせる者がわし以外にもいたとは……」
感心した様子でそう言うと、老人は話し始める。
「何を隠そう、わしが南方の神の一人、エノカーンじゃ。その秘宝はわしが守っておる。君は狼をも圧倒する強さがある。それは秘宝を扱うために必要な要素の一つ。この秘宝、黄金鷲の小像を授けよう」
君は狼を飼いならす老人が神様の一人だったことに驚きつつも差し出された黄金に輝く小像の秘宝を有難く受け取り、お礼を言う。
「道に戻って旅を続けなさい。秘宝が3つ集まり、人類を救えることを祈っておるよ」
君は神様に言われるままに道に戻り、旅を続けることにする。
伝説の秘宝 第3話
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