日本の労働生産性

企業の労働生産性からみた日本の現状を考える。労働生産性とは労働者一人あたりで生み出す成果、あるいは労働者が単位時間あたりで生み出す成果を指標化したものである。
日本生産性本部が2023年12月に発表した「労働生産性の国際比較2023」によると、2022年の日本の時間当たり労働生産性は52.3ドルでOECD 加盟38カ国中30位となっている。データが取得可能な1970年以降で最も低い順位になっている。また、2022年の日本の一人当たり労働生産性は85,329ドル(833 万円/購買力平価(PPP)換算)でOECD 加盟38カ国中31位となっている。こちらも1970年以降、最も低い順位となっている。一方で2021年の日本の製造業の労働生産性(就業者一人当たり付加価値)は、94,155ドル(1,078 万円/為替レート換算)となっている。2000年にはOECD諸国で1位であったが2000年代に入ると順位が低落するようにおり2015年以降は16~19位で推移している。

国際比較で日本の労働生産性でみると、日本は2000年以降低迷し続けている。これは他国は変化しているが日本は変化していないという解釈ができて興味深い。

日本は少子高齢化により労働人口が減少していき、企業は人材採用難に陥っていくことが明らかになってきている。そのため、リモートワークや副業を可能にするなどの魅力をアピールすることで他社との差別化に取り組んでいる。並行して、企業は生産性を向上すべく社内業務にRPAを導入したり、無人化や自動化することで人手不足を補う考えが強くなってきている。
例えば、自社の営業を強化するために単に営業人員を増やすのは昔の話であり、インターネットを活用したオンラインコミュニケーションチャネルでの営業チャネルでは、近年では自社のホームページをリッチにしたり、ランディングページを作成するようになってきている。これは営業人員の採用コストや入社後の人件費とランディングページの制作費用や維持費を比較するとどちらが投資対効果が大きいかという考えである。新規に人材を採用した場合、入社後のオンボーディングから研修などの育成費用が発生する。ランディングページの場合、24時間365日運用されることから営業力強化になることは明らかである。さらに日本語と英語のランディングページを作成することで海外からのアクセスも期待できる。
このように営業力強化の代替としてWeb制作に投資するなど、企業のICT投資が年々拡大しているのも納得できる。

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