見出し画像

Vは優しすぎる【 イースV 失われた砂の都ケフィン 】(SFC)

夏だ。暑い。もうこんなに暑いと冬の吹雪と同じで「家から出なくて良い」とお天道様が言っているようなモノだから家でゲームし放題だ。そして今日も遊ぶゲームはイースだ。
今回遊んだのは5作目にしてアドル・クリスティン20歳の冒険「イースV 失われた砂の都ケフィン」。ついに家庭用機にて日本ファルコムが直々に開発したイースである。

ストーリー
アフロカ大陸の交易都市サンドリアを訪れたアドルは、土地の有力者ドーマンからの依頼を受け、古代錬金術が伝わると言う「幻の都」について調べる事となる。行方不明となっている前任者スタンが残した手がかりを元に6つの結晶を探す冒険へと旅立つ。

Wikipediaより引用

新しい戦闘、美しいグラフィック、薄めの演出

今回のアドルの戦いっぷりはⅢぶりに剣を振ったり、盾を構えるアクションが増えて、さらにアクションRPGとして更に面白くなったところ。敵の攻撃バリエーションが多いのも嬉しい。タイミングよく盾を構え防御できた時のカキン!という音が気持ち良いぞ。

半キャラずらしはないけれど、うまく避けつつ攻撃だ!

そしてレトロハードのイースの中でも本作は特段グラフィックが良く、眼福なドット絵を堪能できる。やはりこの時代のRPGのグラフィックは良い。これまでのイースにあった画面のフレームがないのはちょっと寂しいが、90年代らしいRPGに近いスタイルになっている。
でもグラフィックの高低差がわかりにくく、どこが歩けてどこがジャンプで飛び移る場所なのかわかりにくいのがちょっと曲者。

どんな強敵よりも強かったのは足を踏み外せば流されてしまう『滝』だった…。

演出的にはドットのキャラクターの動きは良いけれど、カットインやムービーシーンはオープニングにしかないので少し寂しい。ちなみに今回はアドルは喋らず、喋っているシーンにナレーションが入っている。そうきたか。
音楽も落ち着いた曲調が多いのも印象的だ。

今回のヒロイン「ニーナ」が主軸の淡々としたオープニングである。

優しすぎるのか、強すぎるのか。

そして本作の大きな特徴として、難易度がかなり低いことが挙げられる。両ハードのイースⅣより格段に低い。執拗なレベル上げも必要なければ、ボスはゴリ押しでなんとかなる。
そしてアドルが回復アイテムを複数個持てる仕様になったのも大きい。おかげでダメージを負っても有り余る回復アイテムで回復しまくればラスボスさえも簡単に攻略できてしまう。アドルも薬草ひとつでなんとかなると思わない、落ち着いた判断ができる大人になったのだ。そしてラスボスはガルバランより弱い。

思えばこれまでに幾多の冒険を重ねてきたアドルが強く無いわけがない。だからこの低い難易度もなんだか納得できてしまう…でもゲーム的にはやっぱりもうちょっと達成感が欲しいね。(後に発売されるエキスパート版は難しいらしい。)

ちなみに本作では「錬金」という火、水、風などのエレメントと呼ばれる属性アイテムを3つ合成して様々な攻撃魔法を編み出すという独自システムがこのゲームの目玉として扱われているが、アドルの剣術が強すぎるせいで活躍する場面がほぼないのが寂しい。

魅力的なキャラ!しかし説明がもっと欲しい!!!

そして本作もアドルは新たな地で様々な人々と出会う。ヒロインのニーナをはじめ、コミカルな盗賊のイーブル一家、アドルを兄貴と慕う少年ウイリー(決してクソガキではない)など魅力的なキャラクターが登場する、その中でも最も印象的なのは腕輪に封印された謎の魔神「ストーカー」。厨二全開な黒マントの佇まいでアドルと共に旅をするという設定で、恋人を助けられなかった過去など、最高すぎるポジションのキャラだ。

でも一緒に冒険しているはずなのに、出番が少ないのは残念。思えばサイバーパンク2077のジョニー・シルヴァーハンドや、Ghostwire TOKYOのKKと同じ今流行りのプレイヤーにアドバイスしてくれる先輩的位置にもなれたはずだ。いつでもストーカーにアドバイスを貰えるボタンとか欲しかったよ!

ゲームの終わりまで二人は共に冒険する

本作のストーリーは序盤は土地の名手ドーマンに頼まれて各ダンジョンで結晶を探すシンプルな冒険となるのだが、問題は後半の舞台となる幻の都ケフィン。外界から隔絶された都市で賢者の石に生贄を捧げることによって時間を止めているという説明らしいのだが、この説明が唐突すぎるし、いろんな単語が出てくるので、この都がどうなっているのか自分の頭が悪いせいなのかよくわからない!おかげで後半のストーリーは置いてけぼりになってしまいました…。

それと本作は難易度が低いのもあるけれど、ボリュームもかなり小さめ。ストーリーも10時間以下で、すぐにクリアしてしまい驚きました。本当に短い!
戦闘やグラフィックが作り込まれているだけにもっと冒険したかったよ!あとドギがいないってどういうことなんですか!

イースV。シリーズの中でもかなり地味な印象と物足りなさを感じてしまった本作。キャラクターや設定など良い要素も大量にあるだけに、フェルガナ、セルセタの様にリメイクが欲しくなる一本でした。
でもエンディングで流れるアドルのテーマを聞いちゃったら「うん、今回も良い冒険だったな...!」となりましたね。我ながらチョロいぜ。

冒険は続く...

アドルは次の冒険の地、古代エタニアの文明が残り、運命的な出会いが待つ「セイレン島」へ。
そして僕はカナン諸島に向かうためイースⅥを遊ぶのであった。


DATA

イースV 失われた砂の都ケフィン
発売 / 開発:日本ファルコム
対応ハード:SFC、WinPC(project EGG版、イース大全集版)
発売日:1995年12月29日(SFC版)
ジャンル:アクションRPG



映画鑑賞と積みゲーの資金となります…たぶん