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ベテラン向け【 THE はじめてのRPG ~伝説の継承者~ 】(PS2)

シンプルシリーズに王道RPG見参!

シンプルシリーズにおいてオーソドックスなRPGは意外と後になってから登場した。PS1の「THE 登山RPG」、PS2の「THE 美少女シミュレーションRPG」のような少し変わったRPGは登場していたが、ヒューネックス開発の本作「THE はじめてのRPG」ようなコマンド選択式の王道RPGが登場したのはPS2中期に入ってからだったりする。

当時のJRPGには必須事項だった主題歌付きのオープニングムービーもご用意。しっかりアニメーションしてるぞ!

そんな本作はこれからRPGを遊び始める人に向けたゲーム。ストーリーは魔物の軍勢を率いた悪の王に対し、勇者の地を引いた王家の子孫3人が立ち向かっていくというモノ。
次々と親類が犠牲になっていく展開でかなりシリアスなお話になっており、システムもドラクエを意識しており、戦闘はオーソドックスなコマンド選択式と実家のような安心感のある作りだ。

なんか一度に出てくる敵が多い気がするが、これがシンプル流のおもてなしだ!

はじめての方にはお勧めできない

既にRPGはいくつもクリアしているが、「はじめてのRPG」と題してRPG入門を謳うシンプルシリーズの内容が気にならないわけがない。
ここは一つ簡単にクリアしようと思っていたが、今の今まで僕が本作をクリアしていなかったのは、このゲーム難しくて二度挫折しているからだ。

しっかりとしたレベル上げが必要なのはもちろん、中盤から戦闘はどんどん難しくなっていくし、敵は全体攻撃魔法を撃ちまくるので各ダンジョンで最低3回はボス戦で全滅してしまった。
更に雑魚との戦いも油断すると長期戦を余儀なくされる展開(仲間を呼び続けたり、回復し続けたり)になったりとなかなか難儀する。それと説明書には載っていないR1で戦闘中のメッセージを早送りできる機能はもっと早く知りたかった…。

かわりに他では利用しないオート戦闘が本作では大活躍でもしかしたら自分よりも利口に戦ってくれるので大変重宝しました。実はラスボスもオート戦闘で倒しました。それと逃げる確率は結構高めで、手に入る経験値が多めでレベル上げがしやすかったのは幸いでした。

全体魔法連発ボス。低確率の沈黙魔法を当てないと勝てない。
本作名物「呼ばれたモンスターがさらにモンスターを呼んでいく展開」最高記録は「P」だ!

そしてストーリーは雰囲気が暗い上に、次にどこに行っていいのかわからない展開が多く、次のダンジョンの場所も明示されない事もあるので道迷う事もしばしばありました。往年のRPGらしい不親切感だけど、はじめての人にこんな所まで味わらせるのはどうなんですかね…。
おかげで攻略本や攻略サイトに頼る事が多かったです。(それでもわからない部分は多々あった…。思えば酒場などで情報が得られたのかもしれない。)

行き先がわからず、うろうろする時も多々あった。

歯応えたっぷりの謎解き

そして熾烈な戦闘もさることながら、本作はダンジョンもなかなか歯応えたっぷり。ただこちらはとても面白かった。
石像を動かすよく見るタイプの謎解きから、他では見たことのないしっかり考えさせられるオリジナリティある謎解きまで用意されており、オーソドックスなRPGを狙って作られている本作において、この部分だけは異様な個性を放っている。戦闘やストーリー以上にクリエイターの謎解きに対するこだわりの強さが垣間見えるぞ。

後半のダンジョンではPS2コントローラー「DUAL SHOCK2」の「ボタンの加圧判定」機能を使った珍しい謎解きまで登場。(つまりPS1のコントローラーを使ったら攻略不可能だ。)

特に中盤以降では行くことになるダンジョンでは連続で頭を捻る謎解きステージが楽しめる。ある意味本作の一番の魅力はこの謎解きかもしれない。

本作はクリアまではおよそ21時間。オーソドックスで入門向けRPGを謳いながらも、謎解きが楽しくも暗めのストーリーと戦闘面やヒントの少なさで難易度の高さが目立つ一筋縄ではいかないベテラン向けRPGでした。本作をRPGをはじめての遊ぶ方にはおすすめ出来ない…。


DATA

SIMPLE2000シリーズ Vol.44 THE はじめてのRPG ~伝説の継承者~
発売:D3パブリッシャー
開発:HuneX
対応ハード:PS2
発売日:2004年1月29日
ジャンル:RPG


注意:以下文章はネタバレを含みます。


悲しく煮え切らないストーリー

本作のストーリーはずっと暗かった。とにかく次々と近しい人々が犠牲になっていく。ヒロイン王女の父であるシャバル王は目の前で殺され、さらに少年と王子の父であるナルザーノ王は自身が持ってきたアイテムによって殺されてしまう。世界は救えるが目の前にいる人間を全然救えないのだ。

主人公が持ってきた箱からモンスターが出現し、父親である国王を殺す展開。持ってきた我々の罪悪感もハンパない!

そして仇であるマグラ王は自身の娘のために邪教に染まってしまった悲しい過去があり、その裏で暗躍していたラスボス大魔術師ヴォルフォートすらも邪教の何者かによって操られていたという、煮え切らない展開で達成感もなく本作はエンディングを迎えてしまう。

主人公一行を助ける謎の老婆「ヒチ」本作で最もカッコいい見せ場が多いキャラクターだが、彼女もまた夫であったヴォルフィートに殺されてしまう。悲しすぎる。

あと主人公三人が一切喋らないのも寂しいで、ストーリーが平坦気味になってしまう感じもあり、せめて少年以外の王子と王女くらいは喋らせて欲しかった…。

苦労してラスボスを倒したのに本当の黒幕を匂わせてクリアなんて中途半端すぎて後味が悪すぎる、なんでこんなに暗いんだ。

とにかく長い旅はここに終わった。
邪教の影があると知りつつも今はこの束の間の平和に感謝するしかない。

映画鑑賞と積みゲーの資金となります…たぶん