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画塾は地獄【 血を吸う粘土 】(2017)

[注意:本文はネタバレを含みます]

あらすじ
とある地方の美術専門学校。東京から転入してきた日高香織は、建物の倉庫にビニール袋に入れて置いてあった乾燥した水粘土の粉に水をかけ、粘土に戻してしまう。しかし、その粘土は無残な死を迎えた彫刻家の激しい怨念がこもった悪魔の粘土だった。その粘土”カカメ”は専門学校の生徒達を一人また一人と取り込んで怪物と化していく・・・

<Amazonプライムより>

ここは地獄の画塾!東京藝大の為に青春を燃やす若人たちがあらゆる感情を込めて作品に打ち込む学び舎!…が、上手く行かない日々!
何も無い田舎で先生も実用的な事は何も言わない、ただただ「東京に俺たちも住んでいればもっと上手く行くはずなのに…」と自分たちの環境を怨みつつ制作に打ち込む毎日!未来が見えない重い空気!玉石混合の才能と感情が入り交じるまさに地獄!…正直僕はこの先に起る愉快な粘土地獄より、この地獄の方がだいぶキツいしホラーである。

そんな最悪の地獄を盛り上げるために狂った芸術家の成れの果てがこれでもかと暴れ回るんですが、粘土のバケモノというモノは結構新鮮でフィジカルな物理攻撃がなかなか効かないのもあってかなり強いです。更に好物が水分で、弱点が炎と見てる側にわかりやすく説得力があるのも嬉しい。
更にここの画塾の人たち粘土に対してめちゃくちゃ頑張って戦うんですよね。ここはホラーというよりさながらモンスターバトルな展開がGOODです。

肝心の恐怖演出はチープではありますがクレイアニメっぽい演出が楽しく不気味です。個人的な見所は粘土の粉が体内に入って行くシーン。ここの手作り感にはちょっと感動しました。頑張ればCGなんていらないのだ!
更に話の後半は挿入歌が入る事でだいぶ作中の雰囲気が変わるのも面白い所。特に回想シーンで芸術家のとてつもなく楽しそうな様子が微笑ましいです。このシーン好きです。

そしてラスト、憧れていた東京に対して「そもそも貴様が全部悪いんじゃ!」と唾を吐く、逆恨みMAXでスケールの大きいテロリズムなオチも最高です。まるで冒頭の地獄が嘘のような爽やかさ!

全体的にチープな作りの作品ですが、粘土のモンスターというアイディアの面白さとアツいバトル、そしてとんでもない方向に向かって行く破滅的ラストなど80分と短い尺の中にコンパクトにまとめられているので飽きずに最後まで楽しむ事が出来ました。


DATA

血を吸う粘土
公開年:2017年
製作国:日本
上映時間:81分
監督:梅沢壮一



映画鑑賞と積みゲーの資金となります…たぶん