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映画:ブラックミラー バンダースナッチ(2018)ネタバレ有

選択する罪悪感

Netflixのオススメで現れたのはなんと「視聴者が話の展開を決められる映画」なんて新鮮!なんて斬新!…いやいや、それってプレステの「やるドラ」じゃん!もっと言えば「ゆみみみっくす」じゃん!
…でもまぁ発想的には20年以上前からある手法だけど、そんなゲーム的で自由な事ができるのもNetflixの強みですね。
ってこれ映画なのか?ゲームなのか?うーん、よくわからん。

しかし見始めるとやっぱり違う。まずやるドラなどは全編アニメなのに対してこちらは実写、しかも作り込まれた80年代な雰囲気がたまらない。
朝食だって自分で選べるし、聴きたい曲も選択出来る。
主人公はゲーム会社に勤め制作に励んで行くのだけれど、元から気が病んでいる所があり制作に行き詰まり、彼の心はどんどん薄暗くなっていく。
母の死、父親との不和、進まないゲーム制作、ドラッグ、陰謀論。様々なものが彼を襲う。
話を進めて行くと必ずどこかで話は死んでしまったり、ゲーム制作が失敗に終わったりする。しかしその死や失敗はやり直ししではなく、その死をふまえた上で話が巻き戻り、また進んで行く。なので彼には死の前の記憶が若干あったりする。そこがまた面白い。

だが話がいかんせん暗い。薄暗い洞窟のようなストーリーなのに更に暗い方向へ向かって行くのだから結構こちらの精神的にもツラい。しかもその選択を選んでいるのは自分だと言う罪悪感まで持ってしまう。アニメと実写の差がここにあるのかもしれない。
そのうち主人公は自分が誰かに操られているのではないかと疑心暗鬼になってしまう。まぁそうなんだけどね。
そこから始まる様々な悲劇がこれまたツラい。「なんでそんな所まで俺たちに選ばせようとするんだよ!」と思う所ばかりだ。
ただオチは非常に弱く、トゥルーエンドと思われるものを見たが若干納得がいかないのと、彼が救われてほしかったと思うだけにあの終わり方は悲しすぎました。

そんなゲーム的な作りの本作は選択氏によっては結構ふざけた展開やメタ的などもあり、そういうところは素直に結構笑っちゃいましし、80年代な音楽に雰囲気作りも凝っておりトリップシーンやポスターなどいろんな所で視覚的にも楽しめました。
本作は手放しに褒める事は決して出来ませんが、手法と雰囲気そして視聴者を逆手に取った演出が楽しめる奇抜な作品でした。
ただコレはもうちょっと気分が良い時に見た(プレイした)方が良かったですね。

映画鑑賞と積みゲーの資金となります…たぶん