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【ネタバレ注意!】十三機兵防衛圏と映画

十三機兵防衛圏は様々な映画や漫画、ドラマの影響を強く受けている作品で、ロボットのデザインから世界観の形成までいろんな作品の影響下から換骨奪胎されて本作は作り上げている。それは露骨なものから台詞の一つだったりと本編の節々からその断片を見て取ることが出来る。

本記事では本作「十三機兵防衛圏」がどのような映画から影響を受けているか、どのような映画ネタがあるか、オマージュがあるかなどを、出典と僕の知る限りで紹介していきます。


!!!ここからゲームも映画もネタバレは全開で行きます!!!
!!!未プレイ、未視聴の方はご注意ください!!!


機兵のデザイン

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見たことないゴツい機兵のデザインの元ネタはなんと1990年の映画「ロボ・ジョックス 」に登場する巨大ロボット「マツモト14号」や「ボバレフスキー42号」がモデルである。

ロボジョックスは他にもパシフィックリムや機動武闘伝Gガンダムの元ネタとも言われる巨大ロボットバトルを主体とした特撮映画。CGではなくクレイアニメのようなストップモーションアニメで動くロボットたちがカッコいい映画だ。最近では遂にブルーレイ版も登場したぞ。

正直初めて機兵を見たとき本作を思い出したが結構マニアックな作品なため「嘘だろ?偶然だろ?」と思ったらインタビューで普通に答えていて驚いた。

世界観

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1980年代の日本が再現された宇宙船の中で人々がそれを知らずに暮らすという設定は80年代の名作OVA「メガゾーン23」の道筋を大きくなぞっている。僕が大好きな作品なんですよね。

やたらバイクに乗る主人公や、隠蔽する組織など要素、そしてAIのアイドルが世界の根幹を揺るがす存在だったり、そして新たな大地に降り立つ結末とオマージュされた点はかなり多く、特に網口愁と因幡深雪の関係は正にメガゾーン23の矢作省吾と時祭イヴの関係そのままである。

メガゾーン23のあらすじ
主人公の矢作省吾は80年代の東京で青春を満喫する若者だったが、ひょんな事から機密であるロボットに変形するバイク「ガーランド」を手に入れる。そこからこの世界が偽物であることがだんだん浮き彫りになっていく。

さすがにガーランドのような変形バイクは出ないけど、関ヶ原英の未来バイクはそれを彷彿とさせるよね。
そして中盤の因幡深雪が歌いながらの戦闘は「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」を彷彿とさせる。

ループする緒方稔二

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緒方稔二が鍵と呼ばれるものを探すストーリーは、何度も同じ時間に同じ駅から始まり、失敗しては沖野に報告してまた同じ時間の同じ駅へと戻るループモノである。
ループモノは映画でもいくつも作品はあるが、記憶の中の過去に入り込み、本部とやりとりしながら目的(任務)を果たそうとする映画といえば2010年のSFサスペンス映画「ミッション:8ミニッツ」だ。
舞台が駅と電車というのも同じである。

ミッション:8ミニッツのあらすじ
シカゴ行きの通勤列車が爆破され、乗客全員が死亡。米軍のスティーヴンス大尉は、政府の極秘ミッションとして、特殊なプログラムを用いて乗客が死ぬ直前8分間の意識に侵入し、爆破の犯人を暴いて次なるテロを阻止する任務を課せられる。爆破を防ぐことで乗客の命は救えるのか?映画ファンが唸った驚愕のストーリーを鬼才ダンカン・ジョーンズ監督が見事にまとめ上げた話題のサスペンス・アクション。
Oriconデータベースより

しっぽ

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薬師寺恵だけに見える猫「しっぽ」はヴァニラウェア代表取締役の神谷盛治氏によれば2010年のサスペンスコメディ映画「ハッピーボイスキラー」の主人公ジェリーの飼い猫Mr.ウィズカーズから来ている。
主人公のジェリーは自分の飼っている犬や猫の声が聞こえるようで、犬の方はジェリーに対して優しいが、逆に猫のMr.ウィズカーズは皮肉屋で主人公に対して否定的で悪い事しか言わない猫だ。
そんなひねくれた性格がしっぽにも受け継がれている。

ハッピーボイスキラーのあらすじ
ジェリー・ヒックファンはバスタブ工場に勤める、風変わりな青年。しゃべるペットの犬と猫に唆されながら、裁判所が任命した精神科医ウォーレン博士の助けを借り、真っ当な道を歩もうとしている。彼は職場で気になっている女性フィオナに接近する。だがその関係は、彼女がデートをすっぽかしたことをきっかけに、突如殺人事件へと発展してしまう。
Oriconデータベースより

ちなみに神谷氏はファミ通の記事にて「とても素敵な映画ですよ」と書いていますが、コメディの皮をかぶった精神負荷の高いサスペンスホラーなので、見るには覚悟が必要です。
面白い映画ではあるのですがエグいシーンも多いので万人にはお勧めできません…。

あと薬師寺恵は魔法少女なだけにアニメ「魔法少女まどかマギカ」暁美ほむら感がすごいですよね。

鞍部十郎が見ている映画

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彼のストーリーは映画好きという設定もあるだけにかなり映画ネタは多い。「ダイモス、ダイモス対メカダイモス」「ゴジラ、ゴジラ対メカゴジラ」「デスドロイド2」「ターミネーター2」「UFOウォー」は「スターウォーズ」など台詞の節々に映画ネタがある。

その中でも彼のストーリーの根幹をなすものでもあり、台詞やスキル名にもなっている「ビデオ症候群」は1982年のカルト映画「ヴィデオドローム」から来ていると思われる。まさかこんな所からも引用してくるとは…。

ヴィデオドロームのあらすじ
カナダのトロントにある地方TV局の社長が、奇妙なビデオテープを発見した。暴力と官能に溢れた映像に、彼とその恋人は次第に虜となっていく。やがてテープに秘められた恐るべき陥穽が明らかになる……。
Yahoo映画より

他に確証が無い所で挙げるなら、中盤「意識だけになったマッドサイエンティストが機械の身体で復讐する」という映画はなんなのだろう。調べたら2019年の「アップグレード」という映画が近いけど、さすがに最近すぎる気がする…。
あと「地球来訪者」は1983年のTVドラマである「V」だと思われるがこれも定かではない。

南奈津乃とBJ

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UFOマニアな彼女の台詞の中にも「MIB」「E.T.」「宇宙戦争」といった映画ネタが仕込まれているが、話の基盤となる南奈津乃とBJの関係はまさしく1986年のSFコメディ映画「ショートサーキット」のステファニーとジョニー5の関係そのままだ。

本作でも途中まで宇宙人だと思い込み、製造プレートを見てロボットとわかるシーンまであるくらい意識しちゃったりしてる所も嬉しい。
あと出会いのシーンのBJはタオルに包まれたE.T.っぽい。

ショートサーキットのあらすじ
巨匠ジョン・バダム監督によるSFエンタテインメント。ロボット開発会社、ノヴァ・ロボティックスが作った“ナンバー・ファイブ”が回路に異常をきたし逃走してしまう。武器を備えたロボットが人を襲うのを恐れた社長は、ロボットの破壊を命じるが…。
「キネマ旬報社」データベースより

他にも…

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他にも探査船のデザインがもろ「2001年宇宙の旅」のディスカバリー号だ。他にも東雲先輩のシナリオは、大きな過ちを忘れてしまう「シャッターアイランド」を意識していたり、関ヶ原英のシナリオは過去の記憶が無い主人公に対して過去の自分が未来に向けた自分へメッセージを送る「トータルリコール」だったりと挙げるとキリが無いくらいだ。(「惑星ソラリス」も挙げていたけど、一体どの部分なんだろう…)

そんなわけでザックリと十三機兵防衛圏と映画との関係について書いてみました。
ここまでいろいろやっているとパクりと思われそうだが、どちらかというと本作は庵野秀明監督の「新世紀エヴァンゲリオン」やクエンティン・タランティーノ監督の「キル・ビル」のような自分が受けてきた様々な作品の影響を作品に昇華させた作品という見方の方が正しいだろう。

この他にもまだまだ本作は様々な作品の断片が見て取れる作品である。
いろんな映画やマンガなどを見た後にもう一度本作をプレイしてみたらまた違う発見があるかもしれない。
十三機兵防衛圏はそんなワクワクするおもちゃ箱のようなゲームなのだ。

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