見出し画像

ダニエル・クレイグで再撮影!【ゴールデンアイ 007】(Wii)

突如アイツが帰ってきた!

2010年。Wiiでのゴールデンアイ発売に当時とても驚いたことを覚えている。あの伝説のFPS「ゴールデンアイ 007」がリメイクされて帰ってくるとは。発売はアクティビジョン、開発はEUROCOM、そして日本での販売はなんと任天堂だ。日本の販売を一任しているとは、任天堂のゴールデンアイに対する特別な想いが伝わってくるね。(まぁそのせいでグラフィックの良いPS3と360版が日本で発売されなかったけれど)

しかし本作は64のゴールデンアイとはほぼ別物だった。ジェームズ・ボンド役は原作映画と同じピアース・ブロスナンではなく、現在のボンド役であるダニエル・クレイグになり、雰囲気も違うことから当時は「コレジャナイ!」と憤っていたことを覚えている。当時の自分には本作を受け入れられる器量がなかったのだ。

この頃の007ゲームは猫も杓子もダニエル・クレイグよ。

これはクレイグボンド版ゴールデンアイ

しかし改めて本作を遊ぶとわかるダニエル・クレイグの007に合わせた世界観の一新が面白い。
大筋のストーリーは原作映画と同じだが、ガジェットはスマホで統一され、ヴァレンティンが今風のギャングの親分になってる等のキャラクター設定の変更、スマートな身のこなしのブロスナンにはない荒々しいアクションといい、本作は「もしダニエル・クレイグのボンドでゴールデンアイを作るとしたら」というifをゲームという形で体現してくれているのだ。なので本作はダムからバンジージャンプせずそのまま飛び降りる無茶をするが、これもクレイグボンドならやりかねない。
思えばなんて贅沢でマニアックな作りなんだ。

登場する役者はダニエル・クレイグの他にMのジュディ・デンチに、タナー役のロリー・キニア役とクレイグボンド時代のMI6メンバーは原作通りだけれど、ゴールデンアイのみに登場する006やナターリアといった人物の役者は全て一新。いろんな都合もあるだろうけど、ここまで大きなアレンジを加えているからこそできる所業だ。でもショーン・ビーンじゃない006はやっぱり寂しいな。

006ことアレック・トレヴェルアンはエリオット・コーワンが演じている

日本語にあたって吹き替えがされており、ジェームズ・ボンドは小杉十郎太、Mは此島愛子と個人的に好みの声優なのも嬉しい。やっぱりクレイグボンドは小杉十郎太よ。そして原作映画と同じく主題歌「Goldeneye」が流れる、歌い手がティナ・ターナーではないのも手が凝っていて嬉しい。

ちなみに当時の映画最新作は「慰めの報酬」なのでQは登場していないので、ボンドのガジェットは寂しいくらい全てスマホ頼りだ。あと「俺は天才だー!」でお馴染みの裏切り者のボリスは本編には登場せず、対戦モードにだけ存在するぞ。全然似てないけど。

ゲーム性はCoD

ゴールデンアイ007といえばマップを探索しながら、アイテムを探したり、破壊工作をしたりなどの任務をこなしていく形だったが、今回は発売がアクティビジョンなだけあってCoDシリーズの流れを汲んだ一本道マップになり、もちろん007らしい隠密パートなどもあるけれど、64時代の自由な探索任務とは別物。でも操作はCoD寄りなので遊びやすいぞ。

ただやっぱりガジェットが少なく、ボンドカーも無いおかげで007らしい楽しさは少ない。(まぁクレイグボンドにそれを求めるのも良く無いけどさ...。)なので違うロケーションで似たような隠密ミッションを繰り返す感じになってる事は否めない。後半まで似た調子なので若干飽きるぞ。

ゼニアとの一騎打ち!ボスバトルは悪しき風習QTEだ!

テンションの上がる再現性とアレンジ

本作は64版との相違点の方が多いけれど、共通点もあり、特にダムの冒頭のステージ作りはやたら64版を意識しており再現度が高い。さらに64版や原作映画にすらなかった006との共闘が楽しめるのも本作の嬉しいところ。手際の良い00エージェントコンビのお仕事が味わえるぞ。

化学工場からの脱出は64以上に映画を再現している!

もちろん化学工場ではダクトからトイレへ降りたりとお約束も忘れない。映画では1番の見せ場であった捕まったナターリアを追う戦車チェイスも用意されており、原作映画よりもドンパチ成分が強く、街が大惨事になっていてこれはこれでケレン味が強くて面白いぞ。

そして見どころはやはりナイトクラブシーン。原作映画ではショーパブだったヴァレンティンのアジトがdeadmaus5の「I Remenber」を永遠に流しまくるDJの周りを踊り狂う人間が囲んでいる大箱のクラブになっている。Wiiの性能上表示出来る人物の数を調整するためにダンスホール周りの人々が黒いシルエットになってるのがトリップ感があって個人的に好きです。(ちなみにXbox360版ではしっかり再現されているがこれは逆に普通すぎる)
ちなみに本作は映画本編のドラマシーン的なところは全て存在しないので、原作映画で補完するところは補完しなければいけないのも面白い。

そんな訳で、本作は64版リメイクとしてはほぼ別物だし、若干単調なところもあるけれど、映画「007ゴールデンアイ」をクレイグボンドに合わせてアレンジをするという贅沢で面白すぎるチャレンジをした一本として個人的にはかなり楽しめる一本でした。


DATA

ゴールデンアイ007
発売:アクティビジョン
開発:EUROCOM
販売:任天堂
対応ハード:Wii (日本未発売)PS3、Xbox360、DS
発売日:2011年6月30日
ジャンル:FPS



映画鑑賞と積みゲーの資金となります…たぶん