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地方創生が開花しないのはなぜか

民間事業者が主導する地方創生に関係するプロジェクトに比べて、自治体が事業主体になっている事業の中で成功モデルと言われているものは少ない。その理由として考えられるのは3つあると思う。

1. 国からの予算ありきの事業
 最近の補正予算もそうだけれど国からの事業公募は基本的には単年度での執行となり事業公募から事業報告は年度末までに形にしなくてはいけない。これではステークホルダーと合意して「持続性のある」事業モデルを描き最終的な提案書にするまでゼロから短期間でまとめ上げる必要があり、そもそも公募モデルに近いアイディアやコミュニティが既に存在する場合でないと厳しい。
 したがって現実的には公募や補助事業の目的に引っかかるよう「建前」となる事業を書いて、実際的には物品やサービスを購入するだけで終わってしまう自治体はよく目にする。そもそも事業目的などどうでもよく、持続性のあるモデルを形成することなど本質的に考えていないのだ。こうした事業が数多く積み重なっていくことで、誰もが方向性がわからなくなってしまうパッチワーク状態が完成してしまう。

2.総花的な総合計画
 自治体として仕方のないことかもしれないが総合計画を見ると、どれも紋切り型で同じように見える。確かに日本の自治体が抱える問題には共通する部分が多いけど、少なくとも優先事業と時間軸の計画についてはその街のオリジナリティが欲しい。公的サービスである以上ゼロにする訳にはいかないと思うが、もっとフォーカスするものとそうでないものを明確にしてもらった方が良い。

3.ビジョンを実行する人の少なさ
 首長の描くビジョンや総合計画に記載された内容を誰が責任を持ってリードしていくのか。こういう人材が自治体に存在するかしないかが今後の生き残りに向けたキーになってくると思う。よく新規事業のためのSWATチームが各部局から集められるが、大体は権限が大きくなく各部局の意見が反映されてしまい誰にとっても耳心地の良い絵に描いた餅になるケースが多い。さらにまずいのは、この具現化プロセスを外部へアウトソースしてしまうパターン。これでは自治体へナレッジが貯まるはずもなく、コンサルタントへの依存体質が出来上がっていき最終的には民間事業者がその投資(雇用を含む)と見返りに彼らの論理でプロジェクトが展開されていく可能性がある。
 非常に稀ではあるがいくつかの自治体においては首長との連携も良く、各部局をリードし事業形成できる人たちがいる。こういう自治体では断片的な対応ではなく大きなチャレンジが進んでいて、もっとこういう人材を育成する仕組み作りに意識を向けていくべきだ。そしてそのプログラムの中にはSTEAM人材というべきか、デジタル化を構想できるスキルに時間を割いた方が良い。

地方創生の萌芽がたくさんある。大輪でなくても良いが花を咲かせる自治体が増えてくれると良いと思う。

おわり

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