【林業日記2】チェーンソーを使う前に知りたいこと
こんにちは。夫婦で林業をしている嫁のセイカです。
林業をするとなると「チェーンソー」という伐木のための機械を触ることとなります。
余談ですが、今まで木は「切る」ものだと思っていましたが、この世界では木は「伐る」という漢字が一般的によく使われます。とはいえ、「伐」という漢字は常用漢字ではないため「切る」という字も時折使われることがありますが、「伐」という漢字は【樹木を断つ】という意味合いを持ってつくられた漢字なようです。
そんな木を伐採するために使う必需品のチェーンソーは、とても便利な道具である一方で、使い方を間違えてしまうと、すぐさま死に直結してしまう、恐ろしいものでもあります。
そのためにも、どんな状況であれチェーンソーを使うのであれば、まずは一度正しい使い方や危険性を理解するために林業者向けの講習会を学ぶことを推奨します。
かくいう私はその講習会を今からさかのぼること3年前に受講し、その3年後に林業をはじめているわけですが、正直内容がうろ覚えなことがたくさんあり、ベテランでもある夫・ばたさんに教わりながら日々チェーンソーを扱っています。
そんな状況下で、3年ぶりに現場ではじめて私が木を伐るシーンがありました。
木を伐倒する方法はいろいろありますが、そのときに使った手法は「追い口切り」。
木を伐倒するというのは想像以上に危険が伴うものなので、いかに安全に倒すかが大事となります。
その「追い口切り」というのは、先に「受け口」という方向を決める部分を作り、その後、受け口に対して逆側から平行に「追い口」を入れて、ツルを効かせて木を倒す方法です。
このツルが木が倒れる上で支点となり、木を倒す上ではとても重要になるのですが、このツルを上手に残すというのが素人には難しい部分でもあります。
ツルを残し過ぎても木は倒れないか、木が裂けてしまったり、ツルを切りすぎると思わぬ方向に倒れてしまう…という技術を必要とするのが、木を伐倒するということ。
そんな技術が未熟な私が、林業を本格的にはじめて、伐倒するシーンがあり、まずはその手順で受け口をつくり、そして続いて追い口をつくっているときのこと。
「なかなか倒れないな…」と思いつつ、追い口に差したクサビをどんどん打ち込んでいくと、なんだか様子がおかしい。
夫・ばたさんが即座に
「バーバーチェアや!やばい!」
と今までみたこともないような表情になり、急いで私がチェーンソーの刃をいれた上をロープで縛り出しました。
そもそもバーバーチェアとは英語で「床屋の椅子」という意味があり、その名の通り、伐採後の木の形がそうなることからそう呼ばれているんだそう。
つまりは、木がなんらかの理由で裂け上がってしまい、そのまま倒すと裂け上がった木が自分の上に落ちてくる危険性があるというとても恐ろしい状態を指します。
夫がとった行動は、その裂け上がりを少しでも食い止めようというものだったのです。
通常は自分で木を倒す方向を決めることで、安全な退避場所に逃げられるのですが、このバーバーチェアという状態を引き起こしてしまうと、どんな風に、どこへ木が弾かれてくるかわからないので、安全な退避ができないのです。実際にそれで死亡災害も起きています。
だけれども、私はそのバーバーチェアという言葉自体も全く知らず、一体何が起きているのかわからぬまま、夫の表情と雰囲気でなんだかやばいことをしてしまったことだけを感じていました。
その後、夫が対処してくれたことで、なんとか無事に裂け上がりも最低限で済み、木も無事に倒れてくれましたが、これは本当にドキッとした心臓に悪い出来事でした。
改めて、木を倒すことの危険性を痛感し、ちょっとしたことで自分の生死が別れるんだなと思ったことでした。
今回の原因がはっきりと何かはわからないですが、ツルを残し過ぎた状態でクサビで追い込んだためで、完全に伐採者側の技術不足が招いたことにはちがいないので、この反省を生かして、次に木を伐るときには二度と同じことを起こさないように、改善していきます。
このような、ある意味失敗談は自分にとっては恥でしかないですが、なかなか表には出てきづらい話だと思うので、今後も林業に参入してばかりのど素人目線であれこれ綴っていこうと思います。
決してこれは失敗を武勇伝かのように語っているわけではなく、私と同じような状況下になったときにでも、この状況を知っていると知っていないとでは対処がまったく異なると思うので、文章にして伝えているつもりです。
なんだか全体的に林業って怖いよ!みたいな話になってしまいましたが、林業っていいなと思える明るい話も今後していく予定なので、引き続き、このマガジンをご愛読いただけると励みになります。
この記事が少しでも参考になったら嬉しいです。
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