【林業日記23】林業従事者を増やすにはどうすればいい?
日本の森をどうすればよくできるだろう?
私たち夫婦もチームで林業を営む限り、自分たちで施業できる範囲でコツコツ頑張りながら、同時にこういった林業を見える化するための発信活動もしてきました。
オンラインでの発信活動も大事だと思うからこそ重きを置いてやっていますが、やっぱりオフラインで、見て、感じて、触って…と五感を使った体験も絶対に必要。
そこで、夫・ばたは、子どもたちにいかに山に関わってもらうきっかけをつくれるかを考えて、そのために行動する姿を、妻目線で見守ってきました。
たとえば、地元産材を使って、南米の打楽器「カホン」を作る体験。これは現在、地元の中学生に年に一度、実際に授業として取り入れてもらっています。
他にも、現在は本山町として取り組んでいる「ツリークライミング」なんかも、子どもを対象にした体験事業で、以前はその団体の代表を務めたりと、とにかく一生懸命に頑張ってきたわけですが、夫の林業人生10年近くではじめて、小学校からの授業依頼がありました。
それも「林業」「山」に関する授業をしてほしい、と。
さらに嬉しかったのは、夫婦で呼んでもらえたことでした。
依頼をしてくれたのは、同じ高知県にある「とさ自由学校」。
ここには先生という概念が存在しておらず、大人はあくまでも伴走者。子どもの自主性を第一にされていて、子どもたちが何をやるか、考えて行動している学校でした。
そのため、「やりたい!」という気持ちがなければ、遠目から眺めている子、最初は漫画や本を持ち出して読んでいる子がいたりと、自分の学生時代の授業風景では考えられなかった姿に「なんて自由なんだ…」と衝撃を受けつつも、時計の針がひとつずつ進むごとに、最初は全く興味のなかった子どもたちも、近寄ってきては興味を持って、やってみようと手を動かしたり、質問してきてくれたりと、学ぶ姿勢に変わっていきました。
自分の中の内発的動機が「学ぶ」上ではなによりも大切なんだなあと再認識させてくれました。これは大人もまったく同じですよね。
さて、このとさ自由学校では2時間半ほどの時間をいただいたので、前半・後半に分けて、前半は教室で講義をしました。
ただただ話すだけでは興味を持ってもらうことは難しいからと、あらかじめ伴走者のおとなの方からのアドバイスで、簡単な動画を作っていきました。
夫が、山の仕組み、山の役割なんかを簡単にスライドで説明した後、自分たちの日々の林業の仕事を切り取った10分程度のショートムービーを見てもらい、その後は「きこりクイズ」と名付けた、林業や日本の山に関するクイズを出題させてもらいました。
すると、クイズはやっぱりおもしろいらしく、逆にこちらもクイズされたりと、想像以上に大盛り上がり(笑)
そんなにぎやかな雰囲気の後に、後半は外で、スツールづくりを兼ねて、子どもたちにも実際にノコギリを使って、丸太切り体験をしてもらいました。
丸太をノコギリで切るって大人でも結構しんどい作業なわけですが、子どもたちもそれが想像できるから「やりたくない」という子が続出。
しかし、「やりたい!」と一生懸命に取り組んで、なんなら他の子に代わりたくないというほど、夢中になってやる子まで出てきてくれたことで、やりたくなかった子もそんな様子をみたら、「やっぱり自分もやりたい」という気持ちに変わっていきました。
最初は丸太の周りに5人くらいしかいなかったのに、どんどん増えていき、和気あいあいとした雰囲気の中、友だちを応援する姿も見られました。
杉とヒノキの木屑や枝葉、樹皮を見比べて、香りやそれぞれの特性を楽しんだり、途中からは「家族に持って帰るコースターを作りたい!」とみんなが自発的に1枚ずつコースター作りもはじめました。
そんな中、ヒノキの皮でブレスレットや指輪を作り出す子がいたり、子どもの発想力は大人では想定しえない世界で、気がつけば、みんながそれぞれに楽しんで、さまざまなモノづくりを楽しんでくれていました。
今回、夫婦ともども、林業仕事をするときと全く同じフル装備で、チェーンソーブーツ、チェーンソーパンツも履き、ヘルメットもイヤーマフのついたタイプのものを装着していきました。
すると、そちら側に興味を持った子どももいて、しまいには、夫のチェーンソーブーツをずっと履きっぱなしで走り回って逃げる、逃げる(笑)
子どもたちの笑う姿もたくさんみれて、質問もたくさんしてくれたことが本当にうれしかったのですが、私たち夫婦も仕事で行ったことを忘れるくらいに、楽しませてもらいました。(コラ!)
この体験が今後、子どもたちにとってどのように記憶の引き出しにしまわれて、どのようにこの子たちの人生で役に立つのかはわかりませんが、それでもこういう実体験を通じて「あのとき、あの人たちあんなこと言っていたなあ」とか「木ってこんな香りがして、癒されるよね」とか、そんな小さな気づきが、大人になったときにいい方向に働いて、次の世代に生かしていってもらえると、すごくすごく嬉しいし、ひいては、それが本人にとっても、豊かに暮らすためのヒントになれば嬉しいなと思います。
林業従事者を増やすことに直結するかはわかりませんが、それでも小さく、こんな風に少しずつ種まきをしていくことが大事なんだろうなあ。
小学生から、木に触れて、山に入って、身の回りの自然のことについて想いを馳せてみる。
昔の人は当たり前のようにやっていたことだけど、よっぽどのきっかけがなければ、なかなかそういう機会が持てない今の社会においては、いかに子どもたちに山と関わってもらうチャンスを作れるかが重要なポイントであり、山に関わる仕事をするおとながやることでもあると感じます。
というわけで、今後は夫婦林業ヤドリギとして、子どもたちと関わるイベントも少しずつ増やしていけたらいいなあ。
また、小学校やもしくはそれ以下の子どもたちでも楽しめるような体験や授業を今後ぜひやっていきたいので、そういったご依頼もあれば、お気軽にご相談いただければうれしいです。(もちろん中高生、大学生や大人も大歓迎)
サポートありがとうございます!私たち夫婦は山を買うのが夢なので、その資金に充てさせていただきます!