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ダクトレス1種換気を(現段階では)オススメしない理由|今後の開発に期待

3種換気は、熱交換システムがない(夏は暖気が、冬は冷気が室内に入る)のが弱点。1種換気は、熱交換システムがあるけど、ダクトのメンテナンス(内部が少しずつ汚れていく点)が弱点。

ならば、ダクトがない(ダクトレス)1種換気が理想的なシステムでは?ということで、ダクトレスの1種換気システムが、少しずつ注目を集めています。

今日は、最強に見えるダクトレス1種換気のデメリットについて、詳しく考察していきます。

※いくつかのダクトレス1種換気システムメーカーにヒアリングを行った結果、具体的な解決策が提示されなかったデメリットについて考察していきます。他メーカーで「うちのシステムはこのデメリットは改善されてるよ!」という意見があれば、是非お聞かせください。

本記事の内容は、YouTube動画でも分かりやすく解説していますので、こちらもご覧ください!

ダクトレス1種換気の仕組みとは?

2つの換気システムがペアになっていて、70秒ごとに給気と排気が入れ替わるシステムです。

最初の70秒間:システムA(給気)⇒【空気】⇒システムB(排気)
次の70秒間:システムA(排気)⇐【空気】⇐システムB(給気)
次の70秒間:システムA(給気)⇒【空気】⇒システムB(排気)

と換気が行われていきます。なぜ70秒ごとに給気と排気を入れ替えるかというと、熱交換をするためです。

夏の場合、冷やされた空気が排気側のシステム内を通過するので、排気側のシステム内はキンキンに冷えることになります。

そして、70秒経過後に給気に切り替わり、外の暖かい空気が室内に入ってくるわけですが、暖かい空気がキンキンに冷えたシステム内を通ってくるので、熱交換(冷や)されて室内に供給されるという仕組みになっています。

ダクトレス1種換気のデメリット①

適切に換気されないリスクが高いです。

まず、全部屋に換気システムが設置されないので、換気システムが設置されない部屋の空気は淀みます。換気システムも役割である「ちゃんと換気し続ける」ことができないリスクが高いので、この弱点は致命的です。

さらに、70秒間で本当にペアの換気システム間の空気が全て排出されるのか?という疑問もあります。給気側から入った空気が排気側に到達する前に、70秒経過してしまうと、その空気は逆戻りで室内にとどまり続けることになります。

また、切り替え直前(68秒くらい)で給気した空気は、2秒後に排気に切り替わるので、室内に取り込んだ新鮮な空気をすぐに排気してしまう現象(ショートサーキット現象)が起こるリスクも高いと考えられます。

ダクトレス1種換気のデメリット②

次に、ハウスダストが逆流するリスクが高いです。

室内から排気する時に、換気システム内のフィルター(室内側)にハウスダストが溜まりますが、給気に切り替わった瞬間にそのハウスダストが、室内に逆流してしまいます。

換気は、二酸化炭素とともにハウスダストを室外に排出する役割を担っていますが、ハウスダストが逆流してしまっては、その役割を果たすことができません。

ダクトレス1種換気のデメリット③

外部フィルターのメンテナンスが大変です。

換気システムが3ペアあった場合、計6か所の外部フィルターの掃除をしなくてはいけません。外部の排気ガスや虫でベトベトに汚れたフィルターなので、これだけでも結構大変です。

さらにこのフィルターは、家の中から掃除する仕組みになっているので、虫が飛び出してくるかもしれないベトベトのフィルターを、家の中から掃除するのは、精神的は負担が大きいです。

ダクトレス1種換気のデメリット④

熱交換システムが弱くなるリスクがあります。このデメリットは致命的ではないので、①~③に比べると目をつぶっても良いかなとは思っていますが、念のため。

夏の場合、切り替え直後はシステム内はキンキンに冷えていますので、外から入ってくる暖気は、ちゃんと熱交換され(冷やされ)ます。

ただ、50秒経過後あたりには、システム内は外から入ってきた暖気で温められ、熱交換機能は落ちていくはず。本当にカタログに書いてある熱交換数値がでるのかな?という疑問が大きいです。

ダクトレス1種換気のメリット

デメリットばかりでは申し訳ないので、メリットも。それはやはり、ダクトがないのに熱交換できるという点です。これはとても素晴らしい事です。

現段階では、デメリットが大きいために推奨していませんが、ダクトレス1種換気のメリットはとても魅力的なので、①~④(特に①~③)のデメリットを改善した開発が進むことを期待しています。

現段階での推奨換気システム

ダクト排気型の1種換気システムです。

熱交換のある1種であり、ダクトを給気(新鮮な空気を部屋に供給する経路)に使っていない点が評価できます。排気にダクトが使われいますが、仮にダクトが汚れても、その汚れが家の中に吐き出されることはないので安心です。

現段階で、ダクト排気型の1種換気システムを取り扱っているメーカーは、マーベックスという会社のみ。もっと多くのメーカーが、ダクト排気型の1種換気に取り組むとともに、ダクトレス1種換気のデメリット解消の研究を進めてくれることを願っています。

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