バラナシ③ インド編
夜明け前に起きてバラナシの街を徘徊してみると、昼や夜とはまったく異なる表情をしていた。昼の喧噪は一体どこへ行ってしまったのかと思うほどひっそりと静まりかえり、まるで70年前の迷宮の中で野良牛だけがさまよっているような、とてもシュールな姿に感銘を受ける。
バラナシは不潔かもしれないが、美しい。
迷宮を抜けてガンジスへ向かい沐浴を試みる。
川の底には大きな石がゴロゴロしていて、その上に立ってみると足の裏がヌルヌルして気持ち悪い。
何度か頭から水の中へ潜り体を清めていると、もはや自分がヒンドゥー教徒にでもなったかのように神と自分の接触に若干の喜びを・・・感じ・・・るなんてことはない。
やっぱり汚い川だ。
沐浴を済ませた僕は颯爽と久美子ハウスへ戻り、シャワーを浴びた。
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