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【議論】美術館で絶対に解説したいボーイズ VS そんなの絶対にお断りガールズ

先日、上野の国立西洋美術館にて開催されている「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展―美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ」に行ってきました。

https://note.com/little_autumn/n/nd833f6c1f0c4

上野に行ったら動物よりも食べ物よりも美術を楽しみたくなったのはいったい、いつごろからなのでしょうか…?僕もハイカラになったのかしら!

20世紀初頭、それまで西洋で慣習化されてきた美の常識にNOを唱え、新たなる表現の方法を模索したアーティストたちの軌跡。その後の美術への影響力も大きく、長い芸術の歴史の大きな転換点をダイナミックに切り取った素晴らしい企画展でした。現在改装中のパリのポンピドゥーセンターの所蔵品が多数来日しており、この規模のものは50年ぶりの開催だそう。まだ間に合います!ぜひ!


と、最近美術を猛勉強している僕は、「あ!進研ゼミでやったところだ!!」と言わんばかりに美術書で見たことのある絵たちに囲まれ、大変に幸せなひと時を過ごすことができました。

ただ、どうしても気になります。耳障りなのです。

美術館で絶対に解説したいボーイズのことたちが。


今時、というか、別に今がどんな時代であっても僕は性別ごとにあーだこーだ言いたくはないですよ。

ただね、僕が知る限りでは、こればっかりはボーイズですね。ボーイズはなぜあんなにもガールズに説明したがるのか???

とは言ってもですね。僕だって心当たりがないわけではないですよ。僕だって誰かと自分のお気に入りの映画を見たりしてると、「この俳優は別作品のね~」とか「このシーンは実は監督の無茶ぶりがね~」とか言いたくなるし、現に知識をオードブルで振る舞ったこともあります。

ただね、この「知識オードブル」のうっとうしさ、めんどくささ、言ってしまえば、「ウザさ」について、僕は去年大きく話題になった映画『バービー』のとあるシーンでひしひしと自覚したんです。

https://www.allure.com/story/simu-liu-ken-barbie-transformation

彼女たちの楽園、バービーランドをケンたち(バービーの彼氏として作られた男性人形)に奪われたバービーたちが、彼らの自信を根本からぶっ壊しつつ、支配体制もぶっ壊す、という作戦の一環で、「ケンたちが自分の知識や技術を見せびらかすことを徹底的に妨害する」というものがありました。

例えば「ギターで弾き語りをしている前でわざとスマホをいじる」ですね。この時のケンたちの顔の惨めさったらないですよ。本当に自分事で恥ずかしくなる。別に自分はギターを女の子に弾き語った経験はないですが、自分の特技や趣味を求められてもないのに披露してしまったこと、ボーイズなら誰でもあるんじゃないかな。その時、だいたいガールズは受け流すのに慣れてしまっているから「へー!」とか「そうなんだー!」とか言ってくれることが多いですよね。慣れさせてしまっていることに正直、責任を感じます。


僕の中でそういった行為は「ケンする」と呼んでいます。ただ、既に用語として「マンスプレイニング(Mansplaining)」というのがあります。

マンスプレイニング(Mansplaining)は、主に男性が(相手を無知、または特定の分野に詳しくないと決めつけて)見下すように何かを解説したり、知識をひけらかしたりすることを指す言葉。「man(男性)」と「explaining(説明・解説する)」をかけあわせた用語である。

IDEAS FOR GOOD - 「マンスプレイニング」とは より引用

ただ、この語には「説明する」という要素しか包括されていないのかなぁ、と思ったので、「特技や趣味の披露の鑑賞を半強制させる」という意味も含ませた「ケンする」という自作用語を頻繁に僕は用いています。

・女性がゲームをしているのを見ていて、少し行き詰ったと思ったら「貸してみ!」とコントローラーを取ろうとする

・女性とディナーに行って、その女性が女性の店員さんに「これってどんな料理ですか?」と聞くと、代わりに「これはね~」と割り込む

・女性とレジャー施設に行って、「俺、リフティング50回できるから!」と永遠に球を蹴り上げる

これ全部、「ケンしてます」。

https://abcnews.go.com/GMA/Culture/ryan-gosling-responds-critics-casting-ken-barbie-movie/story?id=99728073

これらの行動原因は「女性のことを下に見ている」や「女性よりも上に立って尊敬されたい」や「女性は自分より知識がないと思い込んでいる」などあるらしいですが、正直、ほとんどの人が無意識的にやってしまっているんだと思います(別に男性たちを擁護するつもりも、過去の自分の言い訳でもないです)。「男よりも女は下!」なんて言わずとも本気で思っている人なんて僕はほとんどいないんじゃないかなぁ、と思っています。


この「ケン」が美術館にはうじゃうじゃうじゃうじゃいるんですよ。いくつか僕が実際に見た事例を紹介しますね。

① 解説文に書いてあることを、ただもう一度伝えてるだけおじさん

② 「あ~、この作者はおそらく印象派出身だね」とだけ言って、女性の「なにそれ~?」を待っているお兄さん(返事があったとは言ってない)

③ 「見て、この絵の具の厚み。わかる?やっぱ絵画は本物見ないとわからないことあるよね。え?さっきのやつちゃんと見てた?わかった、ついてきて」と、絵の具の厚みを伝えるためだけに、上の階にまた引き戻そうとするおじさん(女性がヒールを履いていなかったことを祈るばかり)

④ 「あ~~!!これは○○っていう事物を記号的に捉えてるのか!!記号的に捉えてるからこそ、キュビズムっていう形態が彼らの表現方法に合致したのか~~なるほどね~~!!てか、こういうことってブラックとピカソの時代からやってたんだね~~!!」って女の子に言ってる男の子二人組。


もちろんこういった人たちだけに飽き足らず、ほかにも似たような男性たちが本当に大量にいたわけなんです。これは由々しき事態。自分が昔から見たかった絵の本物を目の前にしてそれをされたらただじゃ置けないですよ。

というわけで作りました、こちら。

UTme!にて、自作デザイン

こちらのTシャツをこれから美術館に行くときは僕は必ず着用しようと思います。注意喚起の目的はもちろん、自戒のためにもね。

小金持ちの皆さん!恵んで恵んで!