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魅惑の90年代に置いて行かれたけど、サマソニでBlurを見ることになりまして…

何事も時代のせいにすれば楽になるっぽい

 それを人に言いふらすと情けないしダサいので、心の中に留めておくことがすごく大切なんだけれど。

 2000年という大世紀末に生まれた僕は幸か不幸か絶妙な時代を生きている。お隣の国が乱れて日本にも戦争の影が見え始めたり、政治の腐敗が進んだりしている。そんな大きなことではなくても、自分たちの生活も怪しくて心から安らぐ時は来るのかと憂いているような時代。サイコーだ

 別にそういう政治的なことだけではなくて、文化的な面でも不満に思うことが多くある。2000年に生まれ、2010年代に青春を過ごした僕にとって、その時代の音楽は本当に肌に合わなかった。テレビでは「がんばれー!
😁
👍」みたいな曲が横行し、ネットではボーカロイドが幅を利かせていた。別にこれらのジャンルがどうとか言うつもりもないけど、どうしても僕には合わず悶々とする日々を送っていた。

 そんな時、The White StripesGreen Dayなどのロックバンドと遭遇し、人生が華やいでいくわけだが、それと同時期に僕はBlurに出会った。

 以前、友人に「Blurって知ってる?」と尋ねると「あん?ブラジャーがなんだって?!」と返され、「あぁ、俺は都会に出よう」と固く決意したことがある(デリカシーがない友人を持つことは実に諸刃の剣だ)。


 Blur(以下「ブラー」表記)とは英国出身のロックバンド。いわゆる「ブリットポップ」と呼ばれる、90年代のイギリスのポップスにおける一大ムーブメントを代表していたグループである。

 このバンドの最も有名な逸話は当然、あの泣く子も黙るOasisとの確執だ。(ほぼ)同時期にブレイクした両バンドは、音楽性はかなり違うのにもかかわらずメディアによって死ぬほど比べられてしまった。結果、本人たちもその気になってしまい新シングルの発売日を重ねて売り上げ競争をするまでに。結果、いろいろあって大ゲンカ。そんなひと騒動を起こしたこともあったらしい。


 そんなブラーは僕にとってある種のコンプレックスを創出する装置だ。そのコンプレックスとは、ボーカルのデーモン・アルバーン(画像左端)の殴り飛ばしたくなるくらいのベビーフェイス(大好きです)でもなく…

https://www.bbc.co.uk/news/uk-england-essex-65387258

田舎での平坦な暮らしについて(オアシスのリアム・ギャラガーいわく、「煙突掃除の音楽」)や、公園にいる人たちについて(オアシスの面々は『Shite life』という替え歌で揶揄)など、どう考えても名曲になるはずがないテーマ性の楽曲たちでもないのです…


 そう、彼らは魅惑の90年代を駆け抜けた存在なのです。それを目の当たりにできなかったことが本当に悔やまれる。ブリットポップ期の調子に乗ったテレビ番組ですっごいつまんなそうに歌っている姿とか、とんでもない傑作を生みだし続けるオアシスにセールスでも人気でも負け続けていた彼らが、97年リリースの5th『ブラー』でオルタナに接近するところとか、そういう歴史を目撃したかった。

 90年代の残り香が漂いつつも、決定的な何かが違う00年代を生きた僕にとって、90年代は最も近くて遠い存在。みんながなぜか地べたに座っていた当時のバラエティ番組みたいな明るいことも、サリン事件や阪神淡路大震災、そしてテロの脅威のような暗いことも、すべて見逃してきた。世紀末へのゆるい絶望感と淡い期待感の両方を肌で感じたかった。


 そんなことを日々常々思っている僕にとあるチャンスが巡ってきました。今年のサマーソニックで、再始動したブラーと元オアシスのリアムが来日するのです…!おいおいどうしたんだ日本。VIVA円安!!!!!

90年代に夢を置いてきたおじさんとおばさんとそうでない人たちと、90年代に置いて行かれた僕らお兄さんとお姉さんとそうでない人たちが、一堂に会します…今年の夏も変に暑くなりそうです…!!


小金持ちの皆さん!恵んで恵んで!