【小説】オレンジ色のオトコ_03
第3章:いないふり。
ピンポーン、と玄関チャイムが鳴る。
さっきLINEが来てたから、チャイムを鳴らしたのはアイツだろう。ベッドの上でブランケットにくるまったままのわたしは、モニターも確認せずにそう結論付けた。チャイムなんて鳴らなかったし誰もわたしを訪ねてきてません、というスタンスでわたしは画面に視線を戻した。『セックス・アンド・ザ・シティ』を観るのはこれで何度目だろう。ちょうどひとつのエピソードが終わり、次のエピソードが始まるタイミングでお決まりのオープニング曲が聞こえてくる。
キャリーたちの活躍を邪魔するように、もう一度ピンポーンと聞こえてきた。廊下も部屋も電灯は消してあるし、留守だと思ってくれるはず。LINEもメッセージが来てたのは知ってるけど確認してないから未読のままだし、大丈夫。はやく帰ってくれないかなぁなんて思いながら画面を眺めていると、LINEの新着通知のポップアップが視界を遮った。ポップアップには「センセイ、いないのー?」と表示されていた。
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1,210字
【小説】オレンジ色の男
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