見出し画像

迫る程に遠のく

長年憧れを懐いていた富士山の麓に生活の拠点を移した。

「これで、毎年富士山に登ることができるぞ!キャンプだってできる!いや〜、長年の夢が叶う!なんて俺ってついてるんだ!」

と意気揚々と静岡に越してきて早くも6年、一度たりともキャンプどころか、富士山付近まで近づいたことも無い。

登山なんて夢のまた夢。

今となっては「あぁ、今日も富士山キレイだなぁ…」

とポツリと心のなかで呟くだけだ。

なぜこうなったかって?

静岡に越してきて、インドア派の妻に諭され、すぐさま勉強期間に突入した。そして長い長い勉強期間が明けたら就職した。

その職種は夏が本番、夏なんて職場の皆が恐れる超繁忙期。夏に有給取ろうと考えた人や、夏に有給を取ろうと試みたものの、有給を取れた人なんていない。
少ない休みは、少しでも体力の回復に充てないと、ブッ倒れるとのこと。

富士登山は7月から9月までの期間だけ。

スケジュール的に富士登山への道は遠退いた。

更に、昔からだろうが、富士山は観光地化しており、登山道は渋滞する。

昔憧れた富士山山頂での御鉢巡りは、もはや精神的に喜びのほぼ無いものに成り下がってしまった。

つまり、私の富士登山への道のりはスケジュール的にも精神的にも辿り着くのが不可能と言えるほどかけ遠のいてしまった。

つまるところ、スケジュール的にも、精神的にも遠のいてしまった今、「富士山は今日もキレイだなぁ」とポツリと心の中で呟く距離感が最適と言うことなのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?