「素材別」シワになりやすい生地ランキング(全12素材)
洋服を買ってみたはいいが思ったよりもシワになりやすかった!
なんてことは、多くの方がご経験されていると思います。
この記事ではどんな素材がシワになりやすいのか、日頃から多くの服地と接しているテーラーの観点からランキング形式で発表していきます。
今回ほとんどが単一の12素材をピックアップしていますが、実際には複数の素材が混合されている洋服が多いかと思います。
そんな洋服でも、今回の内容からどの程度シワになりやすいか予想できるようになると思い、この記事を書いています。
今回比較した12素材
●100% ウール(羊/天然繊維)
●100% コットン(綿/天然繊維)
●100% リネン(麻/天然繊維)
●100% シルク(絹/天然繊維)
●100% バンブー(竹/天然繊維)
●100% カシミヤ(カシミヤ山羊/天然繊維)
●100% キャメル(ラクダ/天然繊維)
●60% モヘア(アンゴラ山羊/天然繊維)
※単一素材がないため40%ウール混紡
●100% ポリエステル(化学繊維・合成繊維)
●88% ナイロン(化学繊維・合成繊維)
※単一素材がないため12%ポリウレタン混紡
●100% レーヨン(化学繊維・再生繊維)
●100% キュプラ(化学繊維・再生繊維)
なお、すべて布帛(ふはく)と呼ばれる縦・緯糸で折られた繊維で比較していますが、編物(ニット)生地でも傾向は同じです。
シワになりやすさの定義
シワになりやすさに関わる要素は、大まかに以下があると思っています。
今回、1〜3を網羅してテーラーとしての僕の経験値からランキング付けをしています。
その上で、どんなシワができやすいのか理解してもらいやすいよう、12素材の写真は全て同じように手でクシャッと摘んだ後のものを掲載しています。
それではランキング発表していきます!
12位 ポリエステル
12素材の中で最もシワになりにくいのは化学繊維であるポリエステルです。
洋服に使われる素材としては高級とはいえませんが、日常着としてのシワになりにくさ、扱いやすさについては抜群の素材ですよね。
ちなみに、他のシワになりやすい素材にポリエステルが混合されていると、シワになりやすさがかなり緩和される傾向にあります。
11位 ナイロン
続いてシワになりにくい素材の代表格が、これまた化学繊維のナイロンです。
この写真はストレッチ素材であるポリウレタンが混合されているので少しシワになっているように見えますが、100%ナイロンはもっとシワが目立ちません。
またそもそも、スポーティーな素材のためちょっとしたシワや畝りがほとんど気にならないのも、扱いやすさの理由のように思います。
10位 ウール (羊)
10位は天然繊維のウールです。
ウールは12〜11位の化学繊維に匹敵するほどシワになりにくく、回復力にも優れています。
(ミストなどですぐにシワが回復)
ウールはスーツやワンピースなどの高級ドレス素材として使われることが多いため、ちょっとしたシワも気にされやすいという点で10位にしました。
9位 キャメル (ラクダ)
キャメルもシワになりにくい素材の1つです。
コートやジャケットに用いられることが多い素材ですが、吸湿性が高いため布団の中綿などにも使われるようです。
ウールによく似ていますが、原毛の細さがウールよりも細く、カシミヤよりも太いためこの順位にしました。
一般的に原毛が細くなるほど高級繊維に位置付けられますが、その分艶(つや)が強くなり、ちょっとしたシワも目立ちやすくなる傾向にあります。
8位 カシミヤ (カシミヤ山羊)
高級素材の代表格であるカシミヤも比較的シワになりにくい素材の1つです。
マフラー、ジャケット、コートの他にスーツやシャツに混合されることもあります。
特にマフラーはクシャッとして巻くことも多いため外したときのシワが気になることもあるかもしれません。
ただ、ウールやキャメル同様回復力には優れているので、丁寧なケアで長く使うことができます。
7位 モヘア (アンゴラ山羊)
夏のスーツ表地などに使用されるモヘアも一般的にシワになりにくいとされている素材です。
モヘア生地はハリがあり、独特の光沢(シャリッとした感じ)があります。ウールよりも固いイメージです。
固いがゆえの、ボコッとしたシワや畝りが気になることもあるかもしれません。そのため7位としました。
6位 シルク (絹)
ネクタイやチーフ、その他にも多くの洋服素材に利用されることの多いシルクですが、シワになりやすさという点では中間的位置付けです。
光沢がある分、シワも比較的目立ちやすいです。
ただ回復力には優れているので、ネクタイのディンプルなどの強いシワの元は、使用後にネクタイを丸めて2〜3日置いておくことで概ね元通りになります。
5位 バンブー (竹)
バンブーは馴染みのない方も多いかもしれませんが、竹繊維を基本として紡績された糸を使ったエコ素材として近年注目されています。
ことスーツ表地などのドレス素材用途においては、シルクのような見た目と言われることが多いですが、シルクよりもややシワになりやすい印象です。
光沢があるため、ちょっとしたシワも目立ちやすい傾向にあります。
回復力もまずまずですが、スチームアイロンなどのケアは必要になります。
4位 キュプラ
高級ジャケットの裏地として用いられることの多い合成繊維のキュプラですが、実はこの順位です。
手でクシャッとしても写真のようにシワにならず、滑りもいいため裏地などに重宝されます。
ただ、汗などの水分により強度が落ち、身体によるプレスなどによるシワができやすかったりします。
ちなみに、比較的汗染みもできやすいので、高級素材とはいえどその辺り気になる方にはあまりお勧めできません。
3位 レーヨン
レーヨンも合成繊維・再生繊維という意味ではキュプラと特徴が似ています。
レーヨンの方が、キュプラよりも更に水に弱いため洗濯による縮みやシワが気になることも多くあるかと思います。
キュプラやレーヨンは自然な回復力も乏しいため、基本的にはアイロンなどによるケアが必要になります。
なお、ビスコースという素材名はレーヨンの一種なので上記と同じ特徴を持ちます。
2位 コットン (綿)
多くの方に馴染みの深い素材であるコットンですが、実は結構シワになりやすいという厄介な一面も持っています。
若干の回復力はありますが、アイロンなどによるケアも必須になることが多いのが事実です。
日常的なアイロンケアを避けたい場合は、形状記憶(またはイージーケア)コットンやポリエステル混合コットン素材の洋服を選んだ方が無難です。
ちなみに、ポリウレタンなどのストレッチ素材が混合されるとシワになりやすさが改善される傾向にあります。
なお、シアサッカーやコーデュロイなどもコットン素材のことが多く、同じ特徴を持ちます。
1位 リネン (麻)
リネンは最もシワになりやすい素材です。
シワになりやすいうえ吸湿性も高いため、どんなリネン素材の洋服でも、朝から着ていると汗を吸い込んで夜にはシワシワになっています。
ただ、このシワ感は他素材には再現できないため、リネンの洋服はパッと見てわかりやすく、比較的高級素材であることも相まって「美しいシワ」と捉えられることもあります。
おしゃれって難しいですよね。
コットンのシワはポジティブに捉えられにくいですが、リネンは違います。興味のある方は是非、リネンの洋服にトライしてみてくださいね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
順位については同素材別生地によって若干の前後はあるものの、テーラーである僕自身が大まかに納得できる内容になったと思います。
ぜひ、皆さんのご意見もお聞かせください。
最後までご覧いただきありがとうございました。