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金融庁が示す「プロダクトガバナンス」

いま、あなたの心の中には、どの様な音楽が流れていますか。
 
「プロダクトガバナンス」、お聞きになったことありますでしょうか?
この言葉は、金融庁が公表している「資産運用業高度化プログレスレポート2023」の中に、「プロダクトガバナンスの強化」として出てきます。

タイトルにもある様に、<資産運用業>に対して、より業務の高度化を進める(プログレス)ためのレポートとなります。

金融庁が求めているのは、資産運用業と言われる「顧客の資金などを国内外の債券や株式などで運用する業務」を行うものとなります。

ちなみに、金融商品取引法には、“資産運用業”という言葉は存在しません。
金融商品取引法における、“資産運用業”の意味合いを持つのは「投資運用業」となります。
その業務は「顧客の資産を、金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に基づいて、有価証券又はデリバティブ取引に係る権利に対する投資で運用を行う業務」となります。

身近なところでは、投資信託の運用を行っている投資信託委託業者、目論見書などの表紙に“設定・運用は”として、記載されている会社となります。
最近は、〇〇アセット・マネジメントという会社名が多いのではないでしょうか。ごくたまに、〇〇投信と言う会社もありますが。

さて、このプログレスレポートでは、なぜ<資産運用業>としているかというと、前述のように直接、顧客の資産を運用するものだけではなく、例えばGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)を始めとして、企業年金なども、そもそもは最終の投資者である労働者から見れば、資産運用業であり、多くの年金基金が、他の資産運用業者に運用を委託しており、プログレスレポートの中では、年金基金等をアセットオーナーと称し、「アセットオーナーの運用体制の整備」も求めています。
 
脱線しましたが、戻って「プロダクトガバナンスの強化」です。
これは、主に前述の投資信託の運用を行っている投資信託委託業者に対して、下記について求めていることになります。

・プロダクトガバナンス上、①組成時の期待リターンが投資家のコストに見合っているか、②組成後も想定通りに運用し、コストに見合うリターンを提供できているか、③商品が想定する投資家に提供されているか、を定期的に検証する必要。
・大手の資産運用会社では、体制整備が進んでいるものの、実効性の確保は道半ば。一部の社では不芳ファンドの抽出基準が未設定であることや、全体として毎月分配型の投資信託保有者の、商品の重要な特徴認知率が低いといった課題がある。

まとめてみると、自ら提供しているプロダクト(投資信託など)の運用状況について、期待リターンとコストや、想定されている投資者にプロダクトが届いているかなど、また、運用成績が悪いとか、運用資産残高の少ない様な投資信託についての抽出基準や、その取扱い(同種の投資信託との併合など)など、さらにそのプロダクトに対する責任の所在などが求められています。
 
個人的には、ワタシも資産運用業に身を置いていますので、監督当局である金融庁の見解は正しいと思いますし、これが政府のすすめる「資産運用立国」につながればと思います。

まぁ、そのために当局や業界団体、さらには企業のトップも含めて“検証”と“検討”ばかりを繰り返すことのない様に、<言うだけ番長>にならないように、自身の反省も含めて取組みたいと思います。

本日の1曲は、「ビリーヴ(Believe)」です。誰の曲かというと、シェール(Cher)です。

本日は、ここまで。お付き合いいただき、有難うございました。

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