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可聴域 耳年齢

モスキート音なんて言葉が、一時期よく聞かれました。
これは、若い人にしか聞き取れない高い周波数帯を指しています。
一般に、17000Hz近辺のかなり高い音で、十代から二十歳前半の耳の良い人ぐらいしか聞き取れない音域です。

実際に自分の耳の可聴域を測定してみると、年齢の割に高音まで聞こえていたはずが、いきなり10000Hzを切っているあたりまでしか聞き取れなくなってしまうと、愕然とします。その事実を知らなければよかったと思います。

ところが、近年の音響技術の発達で、小口径スピーカーでも、かなり音量を稼げる製品がリリースされ、人ごみの中でも十分に聞き取れる音量を出している現場で、妙に高音が耳障りとなることが有ります。
これは、小口径スピーカーの入力をぎりぎりにまで上げているときに起きる現象で、要は激しく音が歪んでいるんですが、この歪みが聞き取れるか聞き取れないかで、その人の音質を聞き分ける能力の差に気づきます。

一方で、超高音質を追求するオーディオフリークと呼ばれる、いわゆるオタクになると、人間には絶対に聞き取れない50000Hzなんて広域迄再生可能なシステムを構築しています。
聞こえるはずがないのになぜ再生する努力をするのか、ここに不思議な現象が起きています。そういったシステムを大音量で駆動すると、耳からではなく体全体で音を感じ取っていることが体験を通じて理解できるのです。

ただし、これには大いなる危険が伴っていて、聞こえないからと言ってむやみに音量を上げると、それでも聴覚の悪影響を及ぼすのだそうです。一番いけないのは、迫力を感じたいがために、重低音に特化した密閉型のヘッドホンで、大入力で聞き続けた場合です。

耳の機能はいったん破壊されると元に戻らないと言われています。しかし、重低音再生はとても魅力ある世界で、そこに没入するとさらに重低音を欲しがるようになりますが、重低音は大振幅の音波なので、エネルギーがとても大きいのです。

このエネルギーによって、耳の中の有毛細胞が激しく揺さぶられ傷つくと難聴の原因になります。一般にロックコンサートの最前列にいる人は、音量MAXの時には約2分間そこにいるだけで難聴の症状を示し、いわゆるキーンという耳鳴りが起き、もっと激しい症状の場合には、めまいをひきおこします。

気持ち良さを求めて自然に音量を上げてヘッドホンで聞いている若者が多いのですが、彼らは難聴予備軍の中でも、一番近いところにいるのです。ネットで調べれば、音爆と言って、音に晒される環境と難聴の関係が詳しく書かれていますので、その文章をじっくり読んでから、音量に気を向けてみるとよいと思います。

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