新語の寿命

CO2削減の声は、どの程度のレベルなのか、正直なところ一個人では判断しかねる部分があります。マスコミが連日騒ぎ立てたかと思えば、まったく関心を示さないときもあります。

議会報告という名の議員による街頭演説でも、その傾向は色濃く出ています。ところが、新語が出てくると、その言葉にまつわるニュース量が一気に増加して、その新語を知らなければ、非常識のそしりを受けんばかりの風潮があっという間に世間に広まります。

今その座を狙っているのが「ブルーカーボン」なる新語です。今日の時点でこの言葉を言えたなら、あなたの情報感度は相当なものです。
簡単に言ってしまえば、CO2吸収をおこなう対象が海藻類であった場合、この海藻類を指してブルーカーボンと言います。

新語はあっという間に広がった後、定着するかすぐに忘れされてしまうかのどちらかの道を歩みます。例えば、「チル」するという言葉は、若いタレントがガンガン使いましたが、今では聞くことすらありません。

逆に、インフラストラクチャーは長すぎるので「インフラ」と短縮されてしっかり生き残っています。この差は、どこから来るのでしょうか。
なんて言う風にまじめに言葉を吟味していたら、世の中の趨勢に遅れそうな焦りを感じている若年層から一言あり。

「趨勢に乗り遅れるのが嫌だから、自分たちで新語を作り出している」といった言葉が印象的でした。「攻撃は最大の防御なり」を地でいっているわけです。思わず、ポンと手を打ってしまいました。

さて、ブルーカーボンはどんな展開が待っているのでしょうか。言葉が、適当な長さや語感の良さ、さらには根源に迫るような内容を読むだけで情報として与えられる機能を有していれば、寿命は長いと思います。

擬態語や擬声語は、面白くインパクトはとても強いものがありますが、それだけのものなので、流行りが終わったらあっという間に表舞台から消え去るものです。逆に、例の「今でしょ!」は言葉を偶然に発したものではありますが、それを巧みに拾い上げて世間に認知させた人と、そのキャラを未だにテレビに影響し続けている人との連関で、記憶の中に残り続けている典型的な例といえます。

鉄道系ICカードの前身で、「イオカード」というものがありました。この名前の由来がIN/OUTのIとOでイオと読ませたものです。意味が分かれば納得ですが、意外と木星の衛星であるイオからのネーミングと思った人もいました。

要は、新語とはそれを受け取って消化して自分で口にする人の感性の多数決意味合いがあるのだと、勝手に考えています。



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