ミツマタ
日本人なら、かなり頻繁に名前を聞く低木でありながら、以外に花を見たことがない- ミツマタ -の写真をお見せします。
ミツマタってどこでどんな場面で耳にしていますか。
そう、和紙の原料の名前で出てきます。そして、必ずもう一つの名前 - コウゾ -もペアで語られることが多い低木ですね。
ま、それはともかく、ミツマタは3~4月頃に割と広い範囲に分布してはいるのですが、何せ、色が地味でどっさりと咲くタイプではないので、注意してみていかないと、見逃してしまうんでしょうね。
名前の由来は、枝がすべて三つに枝分かれするところから来ています。そのまんまですね。で、和紙はどこの部分を使うかと言えば、切り株から生えてきた1年で伸びてくる枝を原料としています。
作り方は結構手間がかかります。
刈り取った枝を60cmくらいの長さに揃えます。
すぐに、枝の表皮を剥きます。(時間がたつと、固くなってむくのに凄く力がいります)中は、白い色です。
出来上がりを真っ白にしたいのならここで皮をむいた枝を、川の流れに浸して、晒します。(もちろん、袋に入れて川に浸します)
この後大きな釜を用意して、お湯をたっぷり沸かします。
湧いているお湯に入れて、数時間軟らかくなるまで煮ます。目安は繊維がグニャグニャになるくらいと覚えてください。
煮あがって柔らかくなったら、今度をごみを丁寧に取り除きます。これお怠ると、仕上がりは当然汚くなってしまいます。しつこいくらいにごみを取りましょう。
次は、繊維をほぐす作業です。石で枝を叩くのですが、水を十分に使わないと、綺麗にほぐれてくれません。
細かくほぐれた繊維と水、ノリウツギという植物の根から抽出した粘り成分を混ぜて簀の子で一枚一枚すき上げます。ここがテレビでよくやっている紙すきの作業そのものです。一回では十分な厚みは出ませんので、何回かこの溶液を簀の子に通す作業を繰り返します。
もし、和紙の中に模様としてのモミジなどを入れるのなら、作業途中で模様の材料を簀の子の上に置きます。そして、また溶液を通す作業を繰り返します。目的の厚みになったら、簀の子から紙となった部分をそって剥がしましょう。
水気を取って、今度はしっかりと重しをかかて水けを絞りだします。そのあと、天日干しの工程にかかります。ここでも丁寧に空気を抜きながら行っていきます。
どうでしょうか。かなり手間暇が必要ですね。でも、これを子供時代に経験しておけば、紙の大事さはしっかりと心に刻まれると思います。
物を大切にする心を育てるにはうってつけの教材だと思います。
表題写真は、筆者撮影。場所は、宮ケ瀬湖畔のあいかわ公園。
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