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美しいミュージカル映画と、突きつけられた現実。〜ウェストサイドストーリーを観て〜

※本noteはウェストサイドストーリーのネタバレを含むので、これから楽しみに見たい!という人は読まないことをお勧めします。
※あくまで、個人の感想/所感を記載しています。

先日ウェストサイドストーリーを見に行きました。Tonight やMamboなど曲は聞いたことがあるものの、どんな物語かは一切知りませんでした。音楽、ダンス、演出、構成…さまざまな点で圧倒されました。同時に、すごく心に突き刺さる作品でした。観ながら、今の歴史や今の世界情勢に思いを馳せずにはいられませんでした。そこで、感じたことを綴っていきます。

本作ではシマを争い、ジェット団とシャーク団が決闘を行います。
結果、リフはベルナルドに刺されて。ベルナルドはトニーに刺されて。トニーはチムに撃たれる。

目には目を。歯には歯をのように、やられたら互いにやり返します。暴力と悲劇が連鎖していきます。一方のみやられている状態が憎しみを生み、次の悲劇の種になっていきます。

この光景にどこか既視感を感じました、「冷戦」です。(最も生まれる前の話ですが)
相手が核を保有するなら、自分達も核をと言ったようにどんどん軍拡していきます。

そして2022年現在もウクライナを挟んで「ソ連VSアメリカ」の構図があります。アメリカが軍隊を送って、ロシアも軍事演習をして。

なお、映画ではトニーは決闘を止めるために、なんとか説得を試みます。しかし、仲間からも相手からも揶揄されるトニー。そして、喧嘩に揉まれ、友達の悲劇を経て、自身も暴力を振るってしまうのです。

なんか、これもちょっと前のアメリカを思い出しました。オバマ大統領の中東に対する慎重な姿勢。これらの対応が当時弱腰と批判されました。これが必死で相手と対話をしようとするトニーの姿と重なりました。

今回はスティーヴン・スピルバーグ監督のリメイク版です。最初に公開されたのはもう60年ほど前ですが、今の情勢と重ねてしまう自分がいました。「武力に対して、武力で制するしか解決方法がないのか…。今の世界情勢にどのように向き合うのか」とを問われているような気がしました。

これから先もずっと考えていかないといけない問題なんだろうなと思います。
美しい作品から垣間見える現実に、大きなショックを受けました。
突きつけられた現実は、複雑で、一筋縄で解決できない、根深いものです。それでも、現実への理解と想像は常に持ち合わせていたいものです…。

もし、トニーとマリアの二人が違う時代に、違う立場で出会っていたらこんなことにならなかったんだろうでしょうね。現実世界で、同じようなことがこれ以上起こらないように、Somewhereの歌詞のような世界が実現することを願って。

Some day, Somewhere,
We'll find a new way of living,
We'll find a way of forgiving.

Somewhere Rita Moreno  West Side Story (Original Motion Picture Sound track)West side story Cast 2021 より 

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