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【活動報告:詳報=ミュージカル・ベストテン2019の選考投票に参加しました(2020)】

 日本のミュージカル界の2019年を総括するミュージカル出版社の「2019年ミュージカル・ベストテン」の投票に今年も参加させていただきました。このミュージカル・ベストテンはミュージカル関係者、ファンはもとより、世間の注目度も高く、各主要メディアも報道する大変権威のある賞です。私は共同通信社文化部の演劇担当記者だった2008年から2011年までお手伝いし、2012年は担当を外れたためにいったんお休みしていましたが、フリーランスのエンタメ批評家、インタビュアー、ライターとして独立した2013年に復帰し、今回まで7年連続で参加させていただいています。通算では11回目になります。ミュージカル出版社の方々をはじめ関係者の皆さまのご理解があってのことです。大変ありがたく感じております。今後もミュージカルをはじめ、演劇そしてエンターテインメント全般に対する鑑賞眼、批評精神をさらに磨いていきたいと思います。読者の皆様方におかれましては、ぜひとも投票結果の掲載された「ミュージカル」2020年3月・4月号「2019年ミュージカル・ベストテン発表号」をお買い求めいただき、それなりの本数をご覧になった方はあれこれと作品の臨場感を思い返していただき、あまりご覧になれなかった方は私たちをひきつけてやまないミュージカルの魅力の一端を感じ取っていただきたいと思います。(画像はミュージカル・ベストテン2019とは関係ありません。イメージです)

★続きは阪清和のエンタメ批評&応援ブログ「SEVEN HEARTS」でも読めます(劇評など一部のコンテンツは有料ですが、ニュース記事はいまのところ無料です)

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 3月5日に発売されたばかりの「ミュージカル」2020年3月・4月号は「2019年ミュージカル・ベストテン発表号」と銘打ち、大特集されています。初演作品、演出家、スタッフ、男優、女優、再演作品といった各部門ごとに順位と各選考委員の投票状況が表記されています。また各選考委員の投票順位と、1位に選んだ作品を中心とした選考理由の評が掲載されています。

 今年の投票結果です。
 ベストテンは日本初演作品が対象です。第1位は劇団四季の「パリのアメリカ人」、第2位は城田優主演の「ピピン」、第3位は柚希礼音主演の「FACTORY GIRLS」でした。以下4位「リトル・ウィメン ~若草物語~」、5位「ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812」、6位「ファントム」、7位「チェ・ゲバラ」、8位「笑う男」、9位「20世紀号に乗って」、10位「ペテン師と詐欺師」と続きます。
 また再演作品では、松本白鸚主演の「ラ・マンチャの男」が再演賞に選ばれました。

 男優は、第1位が「ラ・マンチャの男」に出演した松本白鸚、第2位が「ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812」などに主演した井上芳雄、第3位が「ピピン」「ファントム」に出演した城田優となりました。以下、4位の市村正親、5位の川平慈英、6位の浦井健治、7位の伊礼彼方、8位の石丸幹二と三浦春馬(二人とも8位)、10位の堂本光一と続きます。
 また注目の女優は、第1位が「エリザベート」の花總まり、第2位が「リトル・ウィメン ~若草物語~」「天使にラブ・ソングを ~シスター・アクト~」などの朝夏まなと、第3位が「ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812」「キレイ ~神様と待ち合わせした女~」の生田絵梨花と「ピピン」のクリスタル・ケイ(二人とも3位)となりました。以下、5位の明日海りお・春風ひとみ(二人とも5位)、7位の望海風斗・柚希礼音(二人とも7位)、9位のソニン・愛希れいか(2人とも9位)と続きます。

 演出家賞は「エリザベート」「オーシャンズ11」「ロミオ&ジュリエット」を手掛けた小池修一郎に決定しました。
 スタッフ賞は、「ロックオペラ モーツァルト」「CASANOVA」の衣裳を担当した有村淳、「FACTORY GIRLS」の音楽監督の大崎聖二、「組曲虐殺」の音楽とピアノ演奏を担当したピアニストの小曽根真、「エリザベート」の照明を担当した笠原俊幸、「パリのアメリカ人」の振付を担当したクリストファー・ウィールドン、「いつか」の作曲を担当した桑原まこ、「CLUB SEVEN ZERO Ⅱ」の玉野和紀、「ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812」の音楽・作詞・脚本・オーケストレーションを担当したデイブ・マロイ、「CASANOVA」の音楽を担当したドーヴ・アチア、「FACTORY GIRLS」「ソーホー・シンダーズ」の美術を担当した乗峯雅寛、「パリのアメリカ人」の装置・衣裳デザインを担当したボブ・クローリー、「Indigo Tomato」の音楽を担当した堀倉彰、「世界は一人」の音楽を担当した前野健太、「ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812」「ダンス・オブ・ヴァンパイア」の美術を担当した松井るみ、「虹のかけら」の構成・演出にあたった三谷幸喜、「GOD OF STARS」の振付を担当した若央りさの16人が選ばれました。

 私がどの作品や誰に投票したかや、どんな理由で選んだかは本誌をご購入いただいて読んでいただくとして、投票結果から言えることは、やはり1位の「パリのアメリカ人」と2位の「ピピン」が群を抜いて評価が高かったということです。劇団四季が昨年新たにレパートリーに加えた「パリとアメリカ人」はダンススキルが超絶なレベルを求められる作品であるため、日本人ダンサーが表現可能かどうかが心配されていましたが、劇団四季は出演者全員が従来から持っている高いスキルをさらに磨き上げ、満足のいく作品にしてくれましたし、「ピピン」は城田優とクリスタル・ケイがその才能を最大限に駆使して魅惑的な世界に誘ってくれました。そして演出家賞で選ばれた小池修一郎はもう受賞が当たり前のようになっている中でやはりまた栄冠を獲得しました。そしてまだまだ可能性を秘めているように見えるところもさすがの一語です。

 ベストテンの3位以下を見ていきましょう。3位の「FACTORY GIRLS」はブロードウェイの新進気鋭ソングライティング・コンビであるクレイトン・アイロンズ&ショーン・マホニーが、演出家の板垣恭一ら日本のクリエイティブ・チームと組んで新作のロックミュージカルを共作した野心的なプロジェクト。女性の権利を求めて労働争議を率いた実在するサラ・バグリーという主人公に柚希礼音を起用し、社会性とエンターテインメント性を融合させた作品に仕上がりました。4位の「リトル・ウィメン ~若草物語~」は2005年にブロードウェイで初演された作品の日本初演公演ですが、あの不朽の名作「若草物語」を長女のジョーに大きな焦点を当てて読み直した作品。再び映画化されるなど注目が集まる「若草物語」を今上演するタイミングの良さと共に、主演の朝夏まなとのキャラクターが大いに活きました。5位の「ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812」はトルストイの「戦争と平和」全4巻と2つのエピローグのうち、ナポレオン戦争の色が濃い第1巻と第3巻、第4巻の間にひっそりと存在しているような、しかし極めて人間的な営みが展開している第2巻の後半部分を主な舞台としてニューヨークで斬新なミュージカルとして仕立てられたミュージカル。舞台上にも客席「コメットシート」が設えられ、通路のようになった舞台だけでなく、その舞台上の観客席に演者たちが分け入って演技や歌唱をすることもあるユニークな作品で、コメットシートではワインやソフトドリンクも提供されるという徹底ぶりで観客を驚かせました。6位の「ファントム」はもう一つの「オペラ座の怪人」と言われている作品で、ファントムの心の苦悩に焦点を当てています。かつて出演者だった俳優の城田優が今回は演出も兼任。加藤和樹と共にファントムを演じました。城田のメリハリのある演出にはうならされました。7位の「チェ・ゲバラ」と9位の「20世紀号に乗って」は宝塚歌劇作品で、革命家、チェ・ゲバラの魂を描き切った「チェ・ゲバラ」と、人生の一発逆転を狙う演出家・プロデューサーがかつて恋人だったスター女優と偶然再会したように装った列車の中で繰り広げる物語である「20世紀号に乗って」はともに宝塚の実力を見せつける素晴らしい出来上がりでした。8位の「笑う男」はヴィクトル・ユゴー原作。主人公の屈折と純真さをうまく表現した浦井健治の演技力が光りました。10位「ペテン師と詐欺師」は詐欺師同士のガチンコ対決を石丸幹二と山田孝之が表現。福田雄一の作品が新橋演舞場で上演されるという意外性もあって、大評判となりました。

 「ミュージカル」2020年3月・4月号は前述したように、「2019年ミュージカル・ベストテン発表号」ですが、通常の企画記事も充実。ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー Season 3」に出演する浦井健治、柿澤勇人、桜井玲香、伊原六花のインタビューをはじめ、ミュージカル「エリザベート」や「モダン・ミリー」「サンセット大通り」などに出演するキャストのインタビューなど注目の記事が目白押しです。ぜひご購入いただき、ご覧ください。

 なお、このエンタメ批評&応援ブログ「SEVEN HEARTS」では年間を通じて70本(例年の100本よりやや減りましたが、それでも個人としては6年連続日本最多の劇評年間発表数です)以上の作品の劇評を発表・掲載しています。
 今回の「2019年ミュージカル・ベストテン」で受賞した作品の劇評(掲載がなかった作品もあります)を以下にご紹介し、リンクを貼っておきますので、自由にご覧ください。観劇時の感動が、受賞の喜びとともによみがえることは間違いありません。
 作品をご覧になれなかった方も、それぞれの作品の臨場感をお楽しみください。

 ただ、一昨年までと少し事情が変わった点があります。劇評など一部のコンテンツの全体像を無料でお読みいただけるサービスは2018年4月7日をもって終了いたしました。ブログでは序文だけ無料公開し、劇評の続きを含む劇評の全体像は今ご覧になっている新しいクリエイターのための作品発表型SNSサイト「note」で公開しています。ここではわたくし阪清和の専用ページへのリンクを貼っておきますが、それぞれの劇評に飛んでいただければnoteの個別記事へのリンクがありますので、ご利用ください。
 ご理解を賜れば幸いです。

【注】劇評など一部のコンテンツの全体像を無料でお読みいただけるサービスは2018年4月7日をもって終了いたしました。「有料化お知らせ記事」をお読みいただき、ご理解を賜れば幸いです。


【各部門での受賞作・受賞者の出演作のうち、エンタメ批評&応援ブログ「SEVEN HEARTS」に掲載された劇評リスト】

<ベストテン第1位>
★ミュージカル「パリのアメリカ人(2019)」劇評=2019.01.25投稿

<ベストテン第4位>
★ミュージカル「リトル・ウィメン ~若草物語~(2019)」劇評=2019.09.24投稿

<ベストテン第5位>
★ミュージカル「ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812(2019)」劇評=2019.01.19投稿

<ベストテン第6位>
★ミュージカル「ファントム(城田優・木下晴香・木村達成出演回)(2019)」劇評=2019.12.02投稿

<ベストテン第8位>
★ミュージカル「笑う男(2019)」劇評=2019.04.23投稿

<再演賞>
★ミュージカル「ラ・マンチャの男(2019)」劇評=2019.10.18投稿

<男優ベストテン第2位となった井上芳雄と女優ベストテン第1位となった花總まりが出演>
★ミュージカル「エリザベート(花總まり・井上芳雄・平方元基・三浦涼介・涼風真世・成河出演回)(2019)」劇評=2019.06.18投稿

<男優ベストテン第5位となった川平慈英と第6位となった浦井健治が出演>
★ミュージカル「ビッグ・フィッシュ(2019)」劇評=2019.11.07投稿

<男優ベストテン第7位となった伊礼彼方と女優ベストテン第3位となった生田絵梨花が出演>
★ミュージカル「レ・ミゼラブル(吉原光夫・伊礼彼方・濱田めぐみ・唯月ふうか・三浦宏規・生田絵梨花・斎藤司・森公美子・相葉裕樹出演回)(2019)」劇評=2019.05.19投稿

<男優ベストテン第8位となった石丸幹二が出演>
★ミュージカル「ラブ・ネバー・ダイ(石丸幹二・平原綾香・咲妃みゆ・香寿たつき・小野田龍之介出演回)(2019)」劇評=2019.01.24投稿

<男優ベストテン第10位となった堂本光一二が出演>
★ミュージカル「Endless SHOCK(2019)」劇評=2019.02.11投稿

<女優ベストテン第1位となった花總まりと男優ベストテン第2位となった井上芳雄が出演>
★ミュージカル「エリザベート(花總まり・井上芳雄・平方元基・三浦涼介・涼風真世・成河出演回)(2019)」劇評=2019.06.18投稿

<女優ベストテン第2位となった朝夏まなとが出演>
★ミュージカル「リトル・ウィメン ~若草物語~(2019)」劇評=2019.09.24

★ミュージカル「天使にラブ・ソングを ~シスター・アクト~(朝夏まなと・大澄賢也出演回)(2019)」劇評=2019.12.08投稿

<女優ベストテン第3位となった生田絵梨花と男優ベストテン第2位となった井上芳雄が出演>
★ミュージカル「ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812(2019)」劇評=2019.01.19投稿

<女優ベストテン第3位となった生田絵梨花が出演>
★ミュージカル「キレイ ~神様と待ち合わせした女~(2019)」劇評=2019.12.15投稿

<女優ベストテン第9位となった愛希れいかが出演>
★ミュージカル「エリザベート(愛希れいか・古川雄大・田代万里生・京本大我・香寿たつき・山崎育三郎出演回)(2019)」劇評=2019.06.24投稿

<演出家賞に輝いた小池修一郎が演出>
★ミュージカル「エリザベート(愛希れいか・古川雄大・田代万里生・京本大我・香寿たつき・山崎育三郎出演回)(2019)」劇評=2019.06.24投稿

★ミュージカル「エリザベート(花總まり・井上芳雄・平方元基・三浦涼介・涼風真世・成河出演回)(2019)」劇評=2019.06.18投稿

<スタッフ賞に輝いた前野健太が音楽を担当>
★舞台「世界は一人(2019)」劇評=2019.03.02投稿

<スタッフ賞に輝いた松井るみが美術を担当>
★ミュージカル「ダンス・オブ・ヴァンパイア(2019)」劇評=2019.11.17投稿

 当ブログは、映画、演劇、音楽、ドラマ、漫画、現代アート、ウェブカルチャーなどに関するエンターテインメントコンテンツの批評やニュース、リポート、トピックなどで構成され、毎日数回更新しています。

 わたくし阪清和は、エンタメ批評家・ブロガーとして、毎日更新の当ブログなどで映画・演劇・ドラマ・音楽・漫画・ウェブカルチャー・現代アートなどに関する作品批評や取材リポート、稽古場便り、オリジナル独占インタビュー、国内・海外のエンタメ情報・ニュース、受賞速報などを多数執筆する一方、一部のエンタメ関連の審査投票などに関わっています。
 さらにインタビュアー、ライター、ジャーナリスト、編集者、アナウンサー、MCとして雑誌や新聞、Web媒体、公演パンフレット、劇場パブリシティ、劇団機関紙、劇団会員情報誌、ニュースリリース、プレイガイド向け宣材、演劇祭公式パンフレット、広告宣伝記事、公式ガイドブック、一般企業ホームページなどで幅広く、インタビュー、取材・執筆、パンフレット編集・進行管理、アナウンス、企画支援、文章コンサルティング、アフタートークの司会進行などを手掛けています。現在、音楽の分野で海外の事業体とも連携の準備を進めています。今後も機会を見つけて活動のご報告をさせていただきたいと思います。わたくしの表現活動を理解していただく一助になれば幸いです。お時間のある時で結構ですので、ぜひご覧ください。

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