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問われるのは勇猛さよりも王の決断力と人間の器。王という役を宿命づけられた浦井健治の覚悟とすごみ…★劇評★【ミュージカル=キングアーサー(浦井健治・加藤和樹・石川禅・安蘭けい・太田基裕・小南満佑子出演回)(2023)】


 シュイスクピアが生み出した数々の史劇(歴史劇)をはじめ、ヨーロッパには歴史的に優れた王や愚かな王の物語があちらこちらに存在する。たいていは王の覇権や権威、国の興亡、戦いのシーンなど勇壮な物語が中心で、やはり権力と闘いのパワーゲームを描いた作品がほとんどだ。ところが、5世紀にサクソン人の侵攻を打ち破り、英国がヨーロッパで台頭するきっかけを作ったアーサー王の伝説をもとにしたミュージカル「キングアーサー」は、そういう戦いの要素はもちろんたくさん盛り込まれているが、他の英雄王ものでは決してお目にかかることができないような恋愛の形や人間関係、負の感情などが登場。物語の展開を王の絶対的な勇猛さや力頼みの行動力だけに頼るのではなく、王もまた苦悩し、しゅんじゅんし、躊躇する人間臭い姿が描かれている。「幸せに暮らしましたとさ」というおとぎ話型ではとても済まないような山積する難しい問題をどう差配していくかという決断力、人間の器こそが試されている作品に仕上がっている。王もまた試されている。実に興味深い。王という役柄を宿命づけられた浦井健治という俳優の成長もまた、この「キングアーサー」という作品の日本での成功に不可欠な要素だった。(写真はミュージカル「キングアーサー」とは関係ありません。単なるイメージです)
 
 ミュージカル「キングアーサー」は、2023年2月11~12日に群馬県高崎市の高崎芸術劇場 大劇場で、2月24~26日ら兵庫県西宮市の兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホールで、3月4~5日に愛知県刈谷市の刈谷市総合文化センターアイリス 大ホールで上演される。それに先立って1月12日~2月5日に東京・初台の新国立劇場 中劇場で上演された東京公演はすべて終了しています。
 
★序文は阪清和のエンタメ批評&応援ブログ「SEVEN HEARTS」でも無料でお読みいただけます。 

★無料のブログでの劇評は序文のみ掲載し、それ以降の続きを含む劇評の全体像はクリエイターのための作品発表型SNS「阪 清和note」で有料(300円)公開しています。なお劇評の続きには作品の魅力や前提となる設定の説明。浦井健治さん、加藤和樹さん、石川禅さん、安蘭けいさん、太田基裕さん、小南満佑子さんら俳優陣の演技に関する批評や、オ・ルピナさんの演出や舞台表現に対する評価などが掲載されています。


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 なお、主要な役柄であるグィネヴィア、ランスロット、メレアガンがWキャストであるため、様々な組み合わせが存在しますが、取材機会の関係で劇評を掲載するのは、ミュージカル「キングアーサー(浦井健治・加藤和樹・石川禅・安蘭けい・太田基裕・小南満佑子出演回)(2023)」に限らせていただきます。ご了承ください。
 この組み合わせではカバーできない伊礼彼方さんや平間壮一さん、宮澤佐江さんのファンや関係者の皆さま方には大変心苦しく感じております。人気公演のため取材機会も限られます。また別の機会に取り上げさせていただきますので、なにとぞご容赦ください。
 
★ミュージカル「キングアーサー」公演情報=東京公演はすべて終了しています

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