バーにて④


「チョコ作るの面倒だからバレンタイン無視する」
「買ったら?」
「あげるなら手作りでしょ」
「…?理解できない」
「なんでわかんないの」
「『本当は手作りしたかったんだけど、上手くできなくて、結局買っちゃったんだけど、貰ってくれる…?』って言って渡せば落ちるよ」
「そんな単純な奴いる?」
「そんな奴しかいないなぁ」
「…理解できない」
「手作りじゃないと受け取らないとかいう奴ならいると思うのか?」
「確かにそれは変だなあ」
「な」
「でもさあ、本命じゃなければ、さっきのセリフ重くない?あざとすぎない?」
「チョコの数は勲章だから、貰う分にはウェルカムなはずだ。まあ何十個も貰うような奴は知らないけど」
「深追いしなければいいのか」
「まあそういうことだな。チョコはジャブだよ」
「なんか大変だなあ。いろいろ考えないといけないんだなあ」
「単純な話なんだけどなあ」
「うーん…。あ、コレあげる」
「何。あ、きなこ餅味だ、好きな奴だ、ありがとう」
「…うん」
「…?まさかこれが…」
「そうだよ」
「ジャブにも程がない?」
「リスク管理しないと」
「……いいけどさ」
「不満?」
「別に」
「じゃあ…耳貸して」
「何?」

「あとで……………………………」

「君さあ」
「何?」
「頭だけで考えて喋るのやめなよ。あと考えるなら先読みしようよ。本当にそれ出来るの?」
「…………無理」
「はぁ…とりあえずもう帰ろっか」
「…うん」

早くもバレンタインコーナーが出現したのを見て書きました。「………………」にはお好きな妄想を入れてね。

バレンタインとかなんか切ないっすね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?