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2023年2月の記事一覧

YES

誰かの思い通りになるのは
嫌でしょう

「ほら見たことか」と言われるのは
嫌でしょう

たとえ成功であっても
「言った通りでしょ」と言われると
嫌でしょう

好きな人に無視されるのは
嫌でしょう

求めた時に拒絶されるのは
嫌でしょう

大切な物を傷つけられるのは
嫌でしょう

恥をかかされるのは
嫌でしょう

大勢に取り囲まれるのは
嫌でしょう

嘘をつかれるのは
嫌でしょう

見下されるのは

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気分

それは可能性ではなくて
気分の話なのだ

私には誰もいなくて
私には何もなくて
味方は一人もいなくて
誰もが私を虐げて
楽しそうな顔をする

私はそんな気分の中に
そんな風船の中に
閉じ込められて
酸素を使い果たして死んだ

そんな気分なのだ

手遅れ

欲しかったのは
抱擁だったと思う
然るべき時に
然るべき温度の
普遍の言葉とセットで
一生変わることのない
絶対的な安心の記憶
受容の獲得

しかし今となっては
もうどんな抱擁も
どんな言葉も
僕の喪失を埋め合わせることは出来ない
鍵穴はドアごと吹っ飛び
瓦は飴のように溶けて消えた

手遅れの大地にたたずむ
人は果てしなく愚かだ
殺しの能力を殺しで証明した後で
人道だの和平だの嘯いて

破壊が不可

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深度

憎しみの深さと
復讐の決意の固さだけ
愛と解放を引き伸ばして
両手を限界まで広げたら
それを受け入れて

世界中のダムを全て壊して
世界中の氷も全て溶かして
宇宙中の光を集めて
この世の全てと
あの世の全てを
掌の中に全て収めてから
それを小さな袋に入れて
玄関のドアに手をかけた

誰かに会いに行く
私を憎むあの人か
私を探すあの人か
私を避けるあの人か
私を殴ったあの人か
私を忘れたあの人か

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規則性

あなたの中であなたのことを
一回転するごとに切り付けている
言葉が
記憶が
映像が
臭いが
感触が
あなたを毎夜壊し続けて

あなたは自身の傍でさえ
怯え震えている

安らぎはどこにあるのだろうと
壊しながら確かめ続ける
絶対でないと困るから
全力でそれを確かめ続ける
自分と世界に

お茶碗の破片のてっぺんで
おにぎりは冷めきっているけれど
これを作ってくれたのは誰だったっけって
必死に名前を思い

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リフレイン/フラッシュバック

時々、桜流しの「まだ何も伝えてない」
というフレーズが頭の中で延々とリピートされる

その人が死ぬことを想像した時
このフレーズが頭の中で流れる
終わりだなんて残酷だ
まだ入り口にも立ってやしないのに
まだ出会ってさえいないかも知れないのに

メメントモリ

私は小さい頃から思っていた
「今日私が死んだらこの人は今言ったことを
 今したことを後悔しないんだろうか」
そして人を軽蔑していた
「私が今

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個と種

それは背反する
相対する
対立する

個としての欲と
種としての欲が
せめぎ合う時
それをフロイトはコンプレックスと呼んだ

個としての自分を捨て
種の位置に立ち返り続ければ
あるいは私のコンプレックスは
私を取り巻く破綻したシステムは
全て解けてしまうのかも知れない

そして
個としての私と
種としての私が
同時に望む方向が見えるだろう

胎内に孤独が無かったなどと
一体誰が言い出したんだろうか

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