規則性

あなたの中であなたのことを
一回転するごとに切り付けている
言葉が
記憶が
映像が
臭いが
感触が
あなたを毎夜壊し続けて

あなたは自身の傍でさえ
怯え震えている

安らぎはどこにあるのだろうと
壊しながら確かめ続ける
絶対でないと困るから
全力でそれを確かめ続ける
自分と世界に

お茶碗の破片のてっぺんで
おにぎりは冷めきっているけれど
これを作ってくれたのは誰だったっけって
必死に名前を思い出そうとしている

おかあさんの旧姓は
なんだったっけ
おかあさんのことを僕はなにも
本当はなにも知りやしない
おかあさんも僕のことを
本当はなにも知りやしない

それがどこへ向かおうと
出所は同じもの
空から振れば美しいのに
地から湧けば熱く焼け
内から出れば強酸性

溶かして欲しいのは
心と体の境目で
僕を犯している何か
もうずっと追いかけているのに
手が
手が届かなくて

「ずっと同じ場所を探しているのよ」
そうだね探し物はなんだっけ
「青い鳥はどこにいたのかしら」
そうだね帰ったらいるんだっけ
多分ここにはないんだ
僕はきっと何かたいへんな
思い違いをしているんだ

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