自分の意思を示せ ~AKB48『Clap』~
この曲は、AKB48の7thアルバム「0と1の間」に収録されている横山チームAのオリジナル楽曲になります。
雰囲気としては、2009年の「RIVER」や2010年の「Beginner」と同系統の曲と言えるのではありませんかね。
重厚なロックバラードです。
ここのイントロやAメロの前にある歌詞のセクションは何と呼称するのでしょうかね?
それはさておき、「Clap Your Hands!」とは、「手を叩け!」という意味ですね。
手を高々と上げて打ち鳴らし、自分の存在をアピールしろということでしょう。
転じて、自分の意思をはっきりと示せということなのではありませんかね。
1番Aメロ
日本には「以心伝心」という言葉があります。
言葉にせずとも心が通じ合うとか、多くを語らずとも伝わるとかといったような意味ですけれども、これが通用するのは、日本人同士であれば言葉も習慣も価値観も文化的背景もお互いに共有している部分が大きいからなのですよね。
ところが、移民で出来上がっているアメリカのような国になると、言葉も習慣も価値観も文化的背景も多種多様で、思っていることをちゃんと言葉にしないことには何も伝わらない。
もっとも、現代社会においては、日本もグローバル化の波には逆らえませんし、同じ文化的背景を持っていても、価値観が多様化してきている現状では、以心伝心が通用しなくなってきているところはあるかもしれません。
つまり、思っていることは、もはや黙っていては何も伝わらない、とまで言っては言い過ぎかもしれませんが、伝わりにくくなっているのは確かなのではないでしょうか。
ただ、言葉にするにしても、思っていることを正しく言語化できるかと言われれば、これもまたなかなか心もとないところで……。
誰しも経験があるのではないでしょうか。
考えていることを説明しようとしたり、思っていることを伝えようとしたりしても、言葉でうまく表現できなくてもどかしい思いをしたことが。
そんなときには、態度だとか行動だとかで示すしかないのですよね。
1番A'メロ
伝えたい思いは言葉にする。
言葉を尽くして意思疎通を図ろうと努める。
それでも足りなければ、態度や行動で示す。
とは言いつつも、語彙力が足りなかったり、口下手な人や内気な人などは、思いを口にすることすらためらわれて、勇気のいることではありますよね。
変な風に受け取られるのではないか、嫌われてしまうのではないかと、あれこれネガティブなことを考えてしまう。
けれども、そこは勇気を出して言葉にするなり行動するなり、何かしら自らアクションを起こさないことには、何も始まらないし何も変わらない。
ささやかなことでもいいから、まずはアクションを起こす勇気を持とうということでしょうかね。
1番Bメロ
周りのことをあれこれ気にしてみたところでしょうがない。
自分の気持ちに正直になって、自由に行動してみれば良い。
何もせずに黙っていたのでは何も始まらないのだから。
といったところでしょうか。
「ドアを叩けよ」というのは、自分の存在をアピールしろ、つまり自分の意思をはっきりと示せということでしょう。
1サビ
自らが発する魂のこもった声は、きっといつか誰かの心に届くはず。
それを信じて諦めるなということでしょう。
そしてその声が、たったひとりの取るに足りない声であったとしても、自分が今ここに確かに存在しているということの証なのだから、孤独に抗って、つまり周りに理解されなかろうが孤立しようが、自分の意思を示すために声をあげることが大切なのだといったところでしょうか。
2番A'メロ
常識に囚われることなく、また周りに甘えることなく、自分の力で自分の道を切り開けということでしょう。
2番Bメロ
何もせずに斜に構えて冷めた目で眺めていても、何も楽しくなどない。
渦中に飛び込んで無我夢中になって取り組んでいれば、何かを掴めるだろうし、きっと未来に希望が見えてくるはずだということではありませんかね。
2サビ
沈黙を破って一石を投じてみれば(行動を起こしてみれば)、きっと誰かがそれに反応してくれるはずだ。
周りのことなど気にせずに、自分の思うがままに行動してみれば良い。
どうして自分は今ここにいるのか、自分は何がしたいのか、よく考えてみようではないか。
たとえ周りに理解されなくても、自分の気持ちに正直に行動しようということでしょう。
Cメロ
たったひとりのささやかな行動であっても、いずれその小さな波紋が周りの人たちを突き動かし、大きなうねりへと変わっていくこともある。
「僕だけでもいいさ ここにいることを 伝えたい」というのは、たったひとりの自分、ささやかな存在だけれども、今確かにここにいるということを表していて、そこには、この主人公の強い意思が示されているのではありませんかね。
ラスサビは1サビの繰り返しになっています。
周りの目を気にすることなく、はっきりと自分の意思を示し、思うがままに自分らしく行動することで道が開けてくる。
この曲は、そうした自分自身を信じる勇気を持てということを歌っているのではありませんかね。
引用:秋元康 作詞, AKB48 「Clap」(2015年)
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