小説 書く時間を大切に #シロクマ文芸部
「書く時間を大切にしてくださいね。あなたを癒しもしますが、間違えれば呪いもします」
「スピリチュアル文房具」という看板をかかげたそのブースの女主人は、銀河を描いた紺色の爪が長い人差し指で萌音をまっすぐさした。
萌音は生唾を飲み込んだ。すると、女主人は紫のアイシャドーを刷いた目元をふとゆるめて、机の下から白い合皮張りの箱を取り出した。
「こちらが、お客様のパートナーとなるガラスペンです。夜空の色のインクの小瓶をおまけにつけておりますが、インクとノートはお好きなものをお使いくださ