欲望の余り
今、今の今まで見ていた夢。ものすごかった。
強烈な快感の余韻が残っている。
なのに、内容が一切思い出せない。
なんとなく、美女が出てきたような気がする。
そうでなければ、この身体に籠った熱とか、肌着をぴたぴたさせる汗は不釣り合いだ。
どんな女だったか。走って追いかけたくなるような女だったのかもしれない。なんだか全身、走り出したくなるほど漲っている。
ポニーテールの、タンクトップの、スポーツドリンクみたいな女のイメージが駆け抜けた。
でも、ちょっと安直な気もするな。
もっと、命をかけたくなるような、死の恐怖を遠ざけるような、激しい熱情。具体的には思い出せないが、感覚だけは鮮明に記憶している。
ラム酒に浸かったようなラテン系グラマーだったか。溶けかけの角砂糖みたいに甘ったるい女の子だったか。火傷するほど熱い、チーズみたいな、絡みつく、、、。
頭を捻って次々と妄想してみるが、どれもいまいち物足りない。ていうか、どうも食べ物や酒のイメージにばかり引っ張られる傾向がある。
ちょうど手の届く所に酒瓶があり、無意識に引き寄せて飲んだ。
するとたちまち瞼が重たくなり、反対に身体は軽くなった。
誰かに見られている。身体の感覚は殆ど手放してしまったような状態だったが、ハッキリとそう感じた。
でも、誰が、どんな理由で、どんなふうにこちらを見ていようと別にかまわないと思った。
そんなことより、夢の続きが見たい。
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