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山盛り怪文書
2019年1月20日 18:52
ある日のことだった。昔から決まっていたことだった。あるいは決まっていないことが定めだった。その日が来たのは偶然だった。しかし出会いは必然といえた。電波塔の元を訪れた男のことをモイラは知らなかった。それがほころび。それが運命。モイラ。モイラは指導者である。たくさんの名前を持ち、それと同じだけの所属と顔を持った魔法使いの女。それがモイラ。クジャクの魔女。女は目の前の男を見る。男も魔法使いであった。
2019年1月13日 00:54
人間の持てる全ての力。才能、運命、名誉。女王。人として生を受けた者の持ち得る全てが手中にある。女王とはそういうものだ。優秀な女だった。名をローゼといった。女は鮮やかなバラの毛の色を持つ今代女王だった。髪を二つに高く結う。幅広のリボンを目立つように結わえる。赤いショートドレスを纏う。そうすることで女王は完成する。魔法は身に滾っている。いつだって。ぱっちりと開き、その目はきらめく。聡明な女は、