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広島県立歴史博物館 夏季企画展「名宝が織りなす歴史物語 ー広島県の国宝・重要文化財Ⅳー」の観覧日記

本記事執筆開始(2024/08/01)の前日(07/31)、『ふくやま草戸千軒ミュージアム』の愛称でも知られる「広島県立歴史博物館」にて現在開催中の夏季企画展「名宝が織りなす歴史物語 ー広島県の国宝・重要文化財Ⅳー」の前期(7/12(金)~8/4(日))と常設展の観覧へ行ってきたので、短いですが日記として記録を残しておこうと思います。


入館前

時刻は陽が燦々と大地を照らして灼熱の空気に包み始める13時前の頃。
「あっつい…暑くて干からびそう…動いてないのに暑いよ~…」と車内で茹だりそうになりながら、博物館北側の市営駐車場へ到着。

気象庁の記録情報を確認してみたら、35.4℃ほどになっていたようで…いやぁキツいッス…
福山(広島県) 2024年7月31日(10分ごとの値)-気象庁

そんな暑熱環境から逃れようと足早に広島県立歴史博物館の方へ。

入口前
木造狛犬像がご立派

入口

入館後は受付で諸々お支払いや駐車場の1時間無料手続きをして、目の前に設けられている企画展の開催室へ。
※企画展の撮影写真はここで終わりです。(展示物の撮影禁止)

広島県立歴史博物館では企画展の時は大体こういった仕切りが設けられています。
入口付近にある広島県立歴史博物館のマスコットキャラクター「くさどっきー・せんちゃん」と、デフォルメされた神辺出身の儒学者「菅茶山」氏のパネル

企画展感想

公開情報にも沿って紹介すると、本企画展は弥生~近代に渡っての7章構成で大半は若年層や一般人層も観覧に楽しみを覚えやすい、物品的(像や絵図等)な国宝・重要文化財の展示が主でした。

自分は第4章にて展示されている御調八幡宮所蔵の「木造狛犬像」や、地元である備後府中市に在る栗柄南宮神社所蔵の「御神像・随身立像群」を目当てに行かせてもらったのですが、第3・5章の仏像群もなかなかの大きさで見応えが凄まじかったのもあり三十路も近い20代後半のオッサンながら、感嘆を漏らしながら詳細に鑑賞させていただきました。

御調八幡宮所蔵の「木造狛犬像」
お目当てだった御調八幡宮の「木造狛犬」は、自分が今迄見てきた木造狛犬像の中では恐らく2番目の大きさを有するもので、期待していた以上に細部に彫刻が施されていたのもあり、長い時間鑑賞させていただきました!!
(1番大きいと思っているのは島根・日御碕神社の御神門内にいる獅子・狛犬像)
本展にて展示されている木造狛犬像は特に目力が大変強く印象づけられる個体で、大体顔全体で鑑賞されやすい獅子・狛犬像では珍しくワンパーツに視点が寄っていきやすい面をした子たちでした。
そんな目力つよつよな面しながらも、耳も視界に併せて入れると不思議と可愛らしさが出ましたね~(個人の感想)

ただ、パッと見は両方とも獅子像で修復跡っぽいと言われる部分を自分は視認出来なかったので、この像を「狛犬像」と呼ぶべきか「獅子像」と呼ぶべきかでは悩ましいところ…(個人的には「獅子像」寄り)
(去年開催された秋季企画展「備後一宮 吉備津神社展」にて展示された木造狛犬ほど明確な「獅子像」だという判断が下し難かった)

一方で雌雄は明確に判りやすく、右方阿形に巾着()がありましたハイ。

栗柄南宮神社所蔵の「御神像・随身立像群」
こちらの御神像・随身立像群は神社境内にある説明板や今年3月に開催された「第24回ふちゅう歴史フォーラム (※リンク先は講演広報チラシのPDFが残されている所)」で画像は拝見したことがあったのですが、こうして現物を拝見するのは今回が初めてでした。
(かつて2015年に備後府中市重要文化財となった翌年に、府中市文化センターにて御神像群の展覧会が開かれたことがあるようです(リンクは貼りませんが、検索した時にブログ記事を確認))
※歴史フォーラムの様子はアーカイブが動画公開されています。(捕捉掲載)

3月に拝聴した歴史フォーラムでは「仏像と比べると造りは素朴で極めて小さい」と伺っていたので期待値はそこそこだったのですが、個人的には造りは実際素朴な方でありましたが本体の大きさはわりと大きめだなぁ~という印象を受けました。
大きさは一般的な石造獅子・狛犬像より少し小さめくらいでしょうか?
少なくとも両手に抱えて運搬する類の大きさではありました。
(像高等の情報は「文化遺産オンライン」や「広島県教育委員会の文化財ページ」にあります(捕捉掲載))

表情は地蔵菩薩像寄りな感じで際立つものはない感じですが、服装は簡易ながらも想像していたよりは彫刻されていて、御神像・随身立像の元となったであろう人物の位階は知識があると大方の識別はしやすいと思います。
他の御神像・随身立像と比べて童子形像は微笑みの表情がある印象です。

色彩も無く損傷状況も強めではあるものの、素朴な造り故の当時に見られた景色の一端を理解する一助にはなる木像だと思います。

他の展示物
第3章と第5章で展示されている木造仏像群は本当に大きく、展示用台座に乗せ上げられているとはいっても人間大の像高です。
(山門の金剛力士立像くらいの大きさをイメージしていただけたら)

個人的には第3章で展示されている木造日光・月光菩薩立像が、両手と持物を欠失しながらもその特徴の差異が伝わる彫刻なのが凄いな…と小並感。
第5章の仏像に関しては、個人的には木造阿弥陀如来・地蔵菩薩立像の台座の装飾に彫刻された唐獅子と、獅子か狻猊か判断に悩んだ存在(たてがみの感じから獅子寄りで仮定)の彫りの精巧さに目を引かれました。

第6章の吉川元春館跡出土品の小犬土人形はとても小さい物ですが、愛らしさが遠巻きながらもよく伝わってきます。
紙本墨画の四季山水図屏風も、景の濃淡の描き方が素敵で見応えがあります。

この他にも魅力的な展示物は沢山あるものの、語っていたらキリがないのでここいら辺で企画展の感想語りは終わりにさせていただきます。

企画展の詳細はこちらをご確認下さいませ。
名宝が織りなす歴史物語 ー広島県の国宝・重要文化財Ⅳー 7月12日(金)~9月1日(日)-広島県立歴史博物館

※前期は~8/4(日)まで。
その後、展示品の一部入れ替えを行って後期が8/6(火)~9/1(日)の会期。


常設展感想

草戸千軒展示室
歴史博物館2Fの常設展は以前も何度か訪れているのもあって特段長文感想も無いのですが、草戸千軒展示室の作りは本当に凄いな~と毎度来て思う所です。

草戸千軒展示室「よみがえる草戸千軒」-ふくやま草戸千軒ミュージアム(広島県立歴史博物館)

草戸千軒展示室内の「町並復原部」外側の一部
草戸千軒展示室内の「町並復原部」の物品や食事風景の再現物

こちらの展示室は、迷惑行為になるような事をしなければ展示物撮影が出来るエリアです。
復元された草戸千軒の町並を是非、体験しに来てみて下さいませ~

近世文化展示室
草戸千軒展示室を抜けた先にある、2ヶ月おきに展示資料の入れ替えが行われる近世文化展示室も今回の展示物は大変興味を引かれる物が並べられていました。
本展示室を構成する一角の「菅茶山関係資料」を展示する「菅茶山の世界」にて今時展「菅茶山と平田玉蘊(ぎょくおん)」を観覧しましたが、菅 茶山氏と尾道市出身の画家である平田玉蘊氏との交流の記録や、玉蘊氏と妹君の平田玉葆氏の作品も展示されていました。
平田 玉蘊氏の作品は力強く濃いめな筆使い、玉葆氏は繊細で淡い筆使いと明確な差異が見られて面白かったです!!
玉蘊氏と他の画家との合作図も見所です。

菅茶山の世界「菅茶山と平田玉蘊(ぎょくおん)」 -広島県立歴史博物館

そのお隣の守屋壽コレクションの今時展「福山城と福山藩関連資料」も、水野氏時代や阿部氏時代の福山城絵図が広く展示されていて、城下町も含めて当時の地形・都市整備状況を知る上で貴重な資料で見ていて楽しかったです。

両方とも今時展の会期は~8/4(日)までなので、拝見しようと思われているのならお早めに!!

そんな感じで観覧感想日記、終わり!!(雑)
あまり芸術やら歴史文化やらに詳しくない方でも、視覚的になんとなく楽しむ姿勢で問題ないので是非、広島県立歴史博物館にて開催中のこちらの企画展・常設展の観覧にお越し下さいませ~(ノ´∀`*)


捕捉

・広島県立歴史博物館
ふくやま草戸千軒ミュージアム(広島県立歴史博物館)-広島県教育委員会


・御調八幡宮所蔵の「木造狛犬像」
広島県の文化財 - 木造狛犬(三原市八幡町)-広島県教育委員会


・栗柄南宮神社所蔵の「御神像・随身立像群」
木造神像・木造随身立像(国の指定文化財)-広島県府中市公式HP (2018/04/04)

南宮神社神像群 -文化遺産オンライン

広島県の文化財 - 木造神像,木造随身立像 -広島県教育委員会

講演アーカイブ
第24回ふちゅう歴史フォーラム「南宮神社の誇れる文化財―本殿、ご神像、鐘撞堂―」講演記録 -国府まろひめチャンネル (2024/04/26)


・木造日光・月光菩薩立像
木造薬師如来及両脇侍像 -北広島町HP

広島県の文化財 - 木造薬師如来及両脇侍像 -広島県教育委員会


・菅茶山(福山市神辺町出身)と平田玉蘊(尾道市東御所町出身)について
菅茶山の紹介 -菅茶山顕彰会

黄葉夕陽文庫と重要文化財「菅茶山関係資料」-広島県立歴史博物館 (菅茶山氏)

尾道の表現者達 -尾道市立美術館 (平田玉蘊氏)

江戸の世のひろしま探訪 -広島県 環境県民局文化芸術課 (菅茶山氏・平田玉蘊氏)
※広島百景→人物の項に平田玉蘊氏や菅茶山氏の紹介があります。