セトタクミ

こんにちわ。日常にもがきながら、非日常を探しています。大きな街の中に沈んで、息苦しく、…

セトタクミ

こんにちわ。日常にもがきながら、非日常を探しています。大きな街の中に沈んで、息苦しく、水圧に耐えかね、死にたくなるときもあります。 でもだからこそ、一筋の光を探したりするのかも知れません。 暖かな毛布に安堵するのかも知れません。そんな毎日。#詩人

最近の記事

アテンダント

あなたはいつも遠くを見ていた でもその横顔がとても好きだった 子供のように設計図を書く そんなあなたをずっと見ていた 出来れば一緒に飛び立てたなら どんなに幸せなことだろう あぁこのまま空に溶けてしまいたい 坂道を下る後ろに乗せられ 揺れる自転車 吹き抜ける風 子供のように怖くて目を瞑る そんな私の手を握って笑う 出来れば一緒に連れて行きたいと どこまでも一緒に行きたいと あぁこのまま背中に溶けてしまいたい 日に日に険しくなる横顔 私は透明人間になる 日に日にため息

    • テストフライト

      水平線の向こう側 その先の景色は知らない 高台から見下ろした 10メートル下 底の青さ 眠れない夜を過ごした 課せられた重圧に押し潰されそうだ 眠らない夜を過ごした 書きかけの設計図と夢とその先 真っ直ぐに駆け抜けられるなら苦労はない 真っ直ぐに飛び続けられるなら後悔はない それでも足は震え そして空に目が眩む 小さな鼓動が高鳴り そして世界は無音となる 広い空の向こう側 そこからの景色は知らない 託すことしかできない 10メートルの二人三脚 眠れない夜を過ごした

      • ビーチフラッグ

        別に立ち止まっているつもりはない かといって駆け抜けているわけでもない 時に足がもつれ こけては砂まみれ そんな毎日に何の後悔も持たない日々 寄せては返す波間に見えるあの幻は 諦めた 結局は手の届かない蜃気楼 ほら今日も誰かの叫び声が聞こえる そんな世界に何の疑問も持たない日々 今にも崩れそうなビーチフラッグ 風に吹かれ 飛ばされ そしてまた遠のいていく 別にわざわざ生きたいわけでもない かといって死ぬには理由も勇気もない 時に夜の静けさが優しくて怖くなる そうやってい

        • 月と雨と花と夢

          運命なんてものに支配されたくはないが コンクリート製のベッドは寝心地が悪い ひび割れた窓の向こうから覗く等高の月 井戸の底で見上げる星空 当たり前の幸せを願うことが悪いことか ただ生きようとすることが悪いことか そんなこと考えたことないのかもね 天使のような悪魔の手 知らなくていいことは知りたくない ただあなたのいう通り生きていたい 轟音で廻る運命の輪 あぁ今日も血の雨が降る 計画なんてもんはいらない 策略巡らす余裕なんてない ただ目の前を粉々にして ただ今日も生きてい

        アテンダント

          2021年。

          禍いが雪のように降り積もる。 会えない日々が続く毎日。 命を絶つ人もいる。 命を絶たれる人もいる。 見知らぬ天井で目覚めることもある。 鳴らない電話を待ち続けることもある。 瞬間、心、重ねて、あなたを思えば、 静止した闇の中で、笑ってくれる。 奇跡の価値を探すのか、 命の選択を行うのか。 人の造りしもので、 心のかたち、人のかたちが崩れていく。 でも、せめて、人間らしく、 涙を流してもいい。 嘘と沈黙はもうたくさんだ。 終わる世界だと誰が決めた。 雨、逃げ出した後でも、立ち止

          火花

          早朝の快速急行は人体パズル 見知らぬ誰かと肩をぶつけ合い 目を閉じる一瞬の現実逃避 車窓を流れる見知らぬ街 そこの名前を僕は知らない 改札を通り抜けて旅立つ世界 見知らぬ誰かを見送る毎日 電源を入れる一種の監視社会 車道を抜ける自転車の彼女 君の名前も僕は知らない 息苦しい毎日だ 300kmで走っているよう 日常とぶつかり音を立てる車輪 ジリジリと散る火花 いつ燃え尽きるか いつ燃え尽きるか 明日が来れば何か変わるだろう いつか何かが僕を飲み込んで 点線を辿るように振り

          SE7EN

          49階から見下ろす街は生きていた フェンスの向こう側は自由だった 君はいつも金網に手をかけては バレエを踊るように泣いていた これまでとこれからの境目で ついた嘘を数えては指を折る 星空と高層ビルの境目で 笑った夜を数えては涙ぐむ 7回目の木曜日が雨なのは 踏切の警告灯に見惚れたから 夜を駆け抜けて君は踊る 屋上から見下ろす街には何もない フェンスの向こう側にも何もない 僕は今も金網に手をかけては 震えている 震えている これまでとこれからの境目で 笑った夜を数えては

          Good Morning Alaska

          着陸のアナウンスに目を覚ます エコノミーの形に曲がった身体 雪が舞う 一面銀色の世界だ 読めないターミナルの出口を出て タクシーに乗りたいけど 歩こうか 冬の花 拾い集めるようにただ 君がいなくなって今日までずっと 僕はモノクロの世界を生きてきたけど 案外白い世界というのも悪くないなと そんなことを思うほどに美しい世界だ 夜になると涙を流し 朝目を覚ます 時計の針とともにただ過ぎる日々 雨が降る 一面灰色の世界だ 夜の来ないこの世界の端っこなら もう泣かないで

          Good Morning Alaska

          六花万雷

          夜が青く深くなる 掌に咲く 冬の花 咲いては溶けて 体温を奪っていく 道の向こうで立っている 君が笑う 冷たいまま 吐く息は白く 最終にかき消される 通り過ぎるテールランプ 世界を赤く染めていく 鳴いている 遠雷が 春を連れてやってくる 思えば一人の冬なんて もう来ないと思っていた こんなにも静かな夜なんて もう来ないと思っていた 道の向こうで笑っている 君が立つ 冷たいまま 吐く息は見えない 終電ももう終わり 通り過ぎるブレーキランプ 世界を赤く染めていく 泣いて

          コードエフ

          悴んだ手を握る 世界を変えるかもしれない 吐く息は白く キラキラと宙に消えていく 8ビート 進む僕らは いつも進んでは戻ってばかりだ 転がる石のように 逆らえないなら進むしかない 人差し指が届くなら あなたの悲しみもなくせるかも 刻むビート 進む僕らは 共に行こう 陽の差すほうへ 優しさの花束を 抱きかかえて飛び降りる 息もできない毎日は 冬の川に沈んでいくようだ 8ビート 心臓の鼓動が 時間を前倒しで消費していく 転がる石のように 行き先も知らずに足を早め

          コードエフ

          サンドペーパー

          歩くたびにすり減る靴底 走るたびに上がる鼓動 笑えば幸せがやってくると 教えられて作った笑顔 鏡の向こうで泣いていた 手の中の幸せが不幸せと 知らずに優しく撫でた 階段を駆け上り 真ん中で一休み ここから見る街は とても狭くて あぁ今日も街が暮れる 触れるたびに重なる日々 触れるたびに上がる鼓動 笑ってれば幸せなんだと 教えられて思い込んでいた あなたはいつも笑っていた 隣にいる幸せが幻だと 気付かずに僕は笑った いつもの道を足早に 4車線を走り抜けた 汚れた

          サンドペーパー

          月夜のセレナーデ

          街が静かに眠る頃 僕は道路の真ん中を歩いた 今夜は月が綺麗だから 僕はただ上を見上げて歩いた どこに行くかなんて忘れてしまった ただ目の前に続いた道を歩いてきた つまずいてはバランスを崩し 星の煌めきは見逃した あぁ今すぐあなたに 月が綺麗だと伝えたい ゆっくり朝が明ける頃 僕はベランダから街を眺める 今夜は月が綺麗だから 僕はただ寂しくなって眠った 何をしたいかなんて忘れてしまった ただ毎日が息継ぎをしているようだ 眠っては夢を見て 大切なことから逃

          月夜のセレナーデ

          虹に咲く花

          夕立が上がったような夏の空に 旅客機が旋回していく 暮れていく街のざわつきは きっと打算と恋心 くっついては離れてく 二重螺旋のお二人は どちらがどちらを追いかけている? 手を繋いだその間を 夏の終わりが駆け上っていく 弾けた雷と虹色の花 咲いては消えて 咲いては消えて 夢の世界を彷徨ってるようだ 浴衣姿の君が美しい 溢れていく心の堰は きっともうもたないだろう 君の手を握る強さに 右往左往する僕の心を 見透かしたように君は笑った 君と僕の視線の先

          虹に咲く花

          千夜一夜

          手の届かない三日月に そっと梯子をかけるような 輝く南の十字星を 紅いロザリオにするような 夢の世界を君と二人 彷徨っていけたなら そんなに幸せなことはあるだろうか 続く砂漠のその向こうに オレンジの夕陽が沈むように 鯨歌う大洋の向こうから 真っ赤な朝陽が昇るように ただ毎日を君と二人 歩み寄っていけたなら こんなに幸せなことはあるだろうか 高い壁は砂の幻 ただ一言で崩れ去るだろう 遠い距離はただの影 ただ一歩で届くだろう その勇気が僕

          メーデー

          二人歩く道 押さえ込んだ気持ち 言葉に出せない 押さえ込んだ想い 遠くからしか見ることが 出来ないことがこんなにも 苦しいことだと思い出したのは 狂おしいほどあなたのことを 見ていたいから 心の奥で燃える火が 世界を焼き尽くして 終わってしまう 桜散る夕景 雑踏に消えてしまいたい 溶けてしまいたい ほどに伝えたい 声にならず 伝えられない 二人歩く道 超えられない距離 これからもずっとずっと 伝えられない 心の奥に置いていこう

          ライラックライン

          待っている 冷たい風と花束と 想い出を胸に抱えて 二人歩いた道端に 咲いてた花を覚えてる 冬から春に移りかけた 淡い匂いも覚えてる さすらうどこかの旅人が 泣いてた子供に話しかけ 二人で話した空想話 いつか目にするようなこと 泣いていた 触れた手と手の温度差が 遠い距離を嘆いてた 暮らし始めたワンルーム 会いたい気持ちが減っていく 二人の距離は測ったように いつも少しずつ遠くなって 桜の花が散るように 咲いてる日々が巡るように 暮れてく赤い夕焼けを

          ライラックライン