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絵から逃げてきたオタクがやっと頑張り始めた話


 27歳、オタク。腐も嗜む。

 ここ3週間、頑張って絵と向き合っている。
 ネットのポーズ画像の模写、実写動画を見ながらのドローイング、モルフォ式デッサン、カラーパターンのメモ。上手い人に教えてもらった練習法をとりあえず片っ端からやってみている。
 けっこうしんどい。サボりたくなる日もあるから、「毎日線を引くこと」を最低目標としてる。でも今のところちゃんと毎日ある程度はコツコツ練習を続けれてる。

 で、さっき夜中に目が冴えたのでモルフォ式デッサンを苦しみながらやってたら、ふと思い出した。
 そういえば私、高校の頃美術部に入ってたんだよなぁ。




 物心ついた頃から漫画もアニメも好きだったから、普通にオタクの腐女子をやっていた。姉の影響で私もらくがき程度に絵をかいてて、中学生になると周囲の友達とスケブ交換とか交換絵日記とかして楽しんでた。(みんな上手だった)
 上手くなりたいなーとは思いつつ、かけるものをかけるようにだけかけてたらそれなりに満足で、練習法を調べることもしなかった。
 中学にも美術部はあったけど、自分は真っ先に卓球部に入っちゃったので興味はありつつ見学にも行ってない……っていう感じ。



 高校に入り、最初に仲良くなった子もオタクで絵を初めめちゃくちゃ多彩な子だった。(楽器も歌も踊りもやるし、今はコスプレとかもやってる)
 その子と美術部に見学行ったら、ひとつ上の先輩たちがめちゃくちゃ歓迎してくれた。(うろ覚えだけど、ひとつ上の先輩たちが入学したとき、それまで部員ゼロで廃部扱いだった美術部を復活させたとかだった気がする。そんなんまんがタイムきららの1期と2期じゃん)


 活動日は週に1回〜2回。
 先輩たちの代は4人ともガチで美術をやってて、基礎練とかデッサンもすごく頑張ってた。二次創作のイラストをかいてる人はそのうち1人しかいなかった。結局芸術系の大学とか専門学校に進学した人もいたなぁ……。
 私たちの代は私と友達のふたり。先輩たちと比べると美術系への進学とかはあんまり考えてない、ライト勢だった。
友達は絵柄に合う透明水彩メインで、雑誌とかを見ながら女の子の模写を好んでやっていた。
 そんななか自分はというと、ほんとに何をやってたっけってレベルでかいてなかった。比喩じゃなく……。
 その頃創作を始めたのもあって、らくがき程度には自室でかいていた。でも当時は下手なものを他の人に見られるのが苦しかったし、それまでやってこなかった模写やデッサンなど「見たものを見たまま正確にかく」ことへの苦手意識がずっと拭えなくて、部室では隠すように人体本の模写とかをしようとしてみては上手く形とれなくて消しゴムかけたりして、かなりなあなあに過ごしていた。
 机を囲んでみんなでおしゃべりしながらカリカリ絵をかいて、部室の雰囲気自体はすごく良かった。今思えば、そういう環境に居させてもらえてたのにちゃんとやらなかったのはめちゃくちゃ勿体ないな。当然全く上達もしなかった。


 ここからは時系列曖昧。
 翌年、受験期の先輩たちがあんまり部活に来れなくなって、さあ誰が部長になるかという話で。友達が兼部してた方で部長になることが決まったため、消去法で私が美術部の部長に任命されてしまった。ヒェ
 ありがたいことにその年は5人くらい後輩ちゃんが入ってきてくれて、みんないい子だった。二次創作で軽く絵をかいてるっていう子がほとんどだったとおもう。
 これまで真面目にやってこなかったっていう負い目もあり、後輩ちゃんたちには先輩たちみたいなガチな雰囲気も知ってもらいたかったし、同じくガチでやりたくなった子への間口だけは開いておいてあげたくて、友達と相談して毎回意識的に石膏デッサンや模写の時間を作ったりした。ただし自分自身の絵画への苦手意識はやっぱりとれなくて、むしろ「絵はあんまり真面目にかいてないけどちゃんと出席はしてくれる必要最低限の部長」でやっていくことにだんだん味を占めてしまった。良いことじゃないなぁ。
 そこから卒業まで2年弱、和気藹々とやれたと思う。でも絵に対しては真剣ではなかったからこそ、今やっと「そういえば」って感じで思い出した。



 大学に入って一人暮らしを始めて、めっきり絵をかかなくなった。親からの入学祝いで板タブを買ってもらったしノーパソは持ってたのに、上手く使いこなせなくて早々に辞めてしまった。なんとなくデジタルなら今より上手くかけるんじゃないかって浅はかな期待があったけど、あっさり挫けてしまった。
 サークルも全く美術に関係ないところに入ったので、そもそもオタクだってことを周囲に隠してた時期もあった。(周りにジョジョラーが多いことを知り、1ヶ月で隠すのをやめた)
 あるとき、シャニマスっていうゲームの女の子キャラをシャーペンでササッとかく機会があった。かかなくなって久しかったし我ながらあんまり上手くはなかったけど、普段絵をかかない後輩が「上手いじゃないですかもっとかいてください」って褒めてくれた。嬉しかった。
 そこからアナログでちょこちょこらくがきするようになった。でもやっぱりらくがき程度で。

 3回生のとき一人暮らしの部屋を引き払って、実家での荷解き中にひょっこり出てきた板タブをまた触ってみた。当時ハマってたジャンルもあったし、モチベーションも足りていたので少し触ってみたり、SNSでの投稿とかもやってみた。(やっぱり人に見られるのは苦手だから、たまーにだけ)
 1ヶ月くらい絵をかくのにハマっては何ヶ月かやめて、またハマってを繰り返し、いつの間にか卒業を控える年になった。この頃も、上達したいって気持ちよりは推しジャンルの絵をかいてSNSへアップする緊張感とたまに見て貰えたときの脳汁とかに囚われてたイメージが強い


 ちょっと絵への認識が変わったのは、2年半ほど前に映画を見て某旬ジャンルにハマったのがきっかけだと思う。人生であんなに強烈な推しができたのは初めてで、(どちらかというとそれまではライトにいろんなジャンルにハマるタイプのオタクだった)そのジャンルへの熱に押し上げられながら社会人をやった。お給料を推しに溶かし、退勤後の時間と休日をアナログイラストに費やし、ラチがあかんとiPadにペンシルとクリスタを導入し、来る日もモブ×推しや推しカプの絵文やネタを量産した。高校生時、毎日3時間くらい創作に費やしてた頃の熱量が徐々に戻ってきた。相変わらず書きたいものを書けるようにしか書かないっていうメンタルだし上手ではなかったけど、表現したいものが明確になったので伝え方とかは少しずつ考えるようになったと思う。
 そんなこんなでそのジャンルには半年ちょっとハマり続け、いろんなことがありあるていど鎮火し、今からちょうど2年前に今ジャンルにハマることになる。


 これも唐突だった。元々前ジャンルでよく拝見してた絵師さんの別ジャンルが今ジャンルで、その人はとある2人組を推していた。その漫画、大学生のとき勧められて2巻くらいまでは読んだものの、中盤に登場するらしいふたりのことはミリも知らない。そもそも連載がどこまで進んでるかすら知らなかったし。
 気になった私は何かの1巻無料とかでその漫画を読み返し、わりとすぐにKindleで既刊全購入を決めた。
 既刊一周したのち未収録話が気になり本誌にも手を出す。ちょうどかなりのキーシーンが公開された直後だったので「このふたりやっぱりデキ…てる…?」って瓶で頭を殴られた気持ちになった。
 二周する頃(初読から5日くらい)には友達とのLINEに「もし推しカプがこの先の展開で死別するなら3選」っていう感じの怪文書が増え始めた。

 それ以来ずっと人生最火力を更新し続けている…今ジャンル、恐ろしいジャンル。これまで今ジャンル関連で生み出した総文字数、もろもろでたぶん12万字くらいいっている。

 今ジャンルや推しコンビのおかげで色んな同好の士と出会えた。自分の絵も他の人に見てもらえるようになりたいなーとか、年齢制限ものもかけるようになりたいとか。そのために長年苦手だった模写や人体とか服の勉強など画力向上に繋がることを真面目にやってみたいと思えた。
 だからこの5月の頭から毎日、線を引くってのと模写を続けている。奮起のタイミングはマジで急だったが…実はちゃんと絵かくことへの憧れとか、そういう気持ちはちょっとずつ溜まってて。推しカプを書きたいっていう動機は不純だけど意気込みだけは透き通ってます。
 今ジャンル、推しカプ、見守ってくれる人たち、ほんとうに感謝……。
 いろんな人に時間割いてもらってアドバイス貰ったからには全部一旦やってみるし、いいなと思ったら続けてみてちゃんと上達したいなぁという気持ち。もともとそういう意気込みだったし、高校時代に貴重な機会を失ったよなぁってことをわりと鮮明に思い出したので……。



 そもそも高校時代のことだけ書こうとおもってたのにめっちゃ長くなった。普段は忘れててきっかけがない限り引っ張り出さない記憶なので、整理のためにも書き出しておきたかったんです……。
 ここまで読んでくれた人がいるかわからないですが、ありがとうございます!