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#36 「野点」っぽいことをやってみた

 毎年、家族で富士・田貫湖に旅行します。そもそも妻の父が富士山大好きで、実家の両親と姉一家とわが家でそこに行くことが恒例になったのです。みんなでのんびりと過ごし、朝は富士山の夜明けの写真を田貫湖畔に撮影に行く(義父はカメラも好きだった)のが定番となっていました。
 毎年夏休みに出かけるようになって20数年。小さかった子どもたちもそれぞれ社会人になりました。数年ほど前に義父は亡くなりましたが、みんなで夏休みに田貫湖に行くというのは残った家族がそのまま引き継いでいます。仕事で忙しいうちの子も甥っ子たちも休みの予定を合わせて参加してくれます。

 今回、(最近、家で抹茶を立てて楽しむという習慣が…自己流ながら…身についてきましたので)義父の作った抹茶茶碗を持っていき、好きだった富士山の夜明け撮影ポイントでお茶を立ててみようと思い立ちました。
 義父は製陶業を営んでいました。すり鉢などを専門に作っていましたが、研究熱心だったようで若い頃に釉薬のテストを兼ねて作ったと思われるいろんな釉の茶碗が残っていました。今回はその中の一つを選んで持っていきました。

 早朝、日の出前の富士・田貫湖畔は薄暗くスマホのライトで照らしながら、それでもなんとかお茶を点てて義兄とふたりで”野点っぽい”お茶をいただきました。
 後で思えばちょっと待てば明るくなっていたのに……とも思いましたが、日の出前の一番空が美しい時間に義父の茶碗でお茶を立てる、義父への献茶という思いもありました。

義父作の茶碗
茶碗が露出不足だったのでストロボ撮影にしたら、
バックの富士山がすごい色になっちゃった。

 朝起きてすぐに沸かしたお湯をポットの入れて持っていき、ありあわせの道具を丁度いいくらいの大きさのカメラバッグに詰め込んでの野点の真似事はまあまあ楽しめました。今後も機会があればどこかでやってみたいと思います。
 義父からは「山の方がシャッターチャンスだ!お茶はあとで落ち着いてからでいいから、ほら!シャッター!!」とか言われそうです。

ほとんど雲のない絶好の朝でした。

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