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甘さと暖かさが必要

もう十年、もっと前だったかもしれない。

冬に大勢で集まって食事をしていた時、「温暖化が、暖冬が」という話をしていたら、ボソッとどこかの席から「でも今って地球の氷河期なんだよなあ」という声が聞こえた。彼はすごく博識で静かな佇まいもあって一目置かれているような人だったので、そんな彼から出た言葉ということで、みんな、え、そうなの? 氷河期・・・暖冬じゃないの? とざわついたのを覚えている。

それが本当なのかなにをもって寒い暖かいを判断するのかもはっきりはしないままだったけれど、とにかくこの冬は寒い。ここ二年くらいそんなに寒さを感じず、あれ、真冬ってこんな感じだったっけ、こんなもんでよかったんだっけ、と思っていた気がするけれど、ここにきて冬が本気を出してきたというか、秋からすでに風の冷たさを感じていた。

だからかはわからないけれど、この冬は甘い和菓子と暖かいお茶を飲むことが多い気がする。

そして暖かさと甘さ、を欲するのはきっと寒いからだけじゃない。寒くたってみんなで集まって暖かくなる、ことが許されない今、大勢で食事していた頃を懐かしんで、それぞれで甘さと暖かさをとり、いつか再び穏やかな春に会えるのを待つしかないんだろう。

画像は鈴懸の黒豆大福。横に置くお茶を想像して暖かい気分になるけれど、見た目は雪山のよう。

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