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ワイキキの海で溺れそうになった話

8月の中旬を過ぎて、思い出しました。
「ワイキキの海で溺れそうになった話」です。
よかったら、読んで疑似体験していただいて、
もしものときに思い出してもらえたらーー。

ある年、私はワイキキビーチにいました。

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泳ぎは好きだし、得意なので、
調子に乗って 体一つでスイスイ泳いでいたらーー

あれ?

気づいたときには、遠くまで運ばれていて
周りには誰もいなくなっていました。
ビーチははるか彼方です。
叫んでも聞こえるはずがなく、
ライフセーバーから見える距離ではありません。

恐る恐る、足を延ばし、海底の深さを調べました。
が、頭まで浸かっても、届きません。
ひえ~。

だいぶ泳いでいたので、疲れも出ています。
あんなに遠いビーチまでたどり着く体力はなさそう。


まずい……。

すごく、まずいことになってる……。



まさか、ワイキキで私は溺れてしまうの?


新聞の見出しが頭に浮かびます。
せっかくなので一面でお願いします。

「日本人女性 ワイキキビーチで水死」

ついでに、記事も頭の中で書き始めます。

〇月〇日〇時頃、ワイキキビーチで
東京都の瀬戸川礼子さん(〇歳)が行方不明になり
海中で発見されたが~~~~。
瀬戸川さんは〇〇の目的で訪れており~~~、
地元住民は「遠浅で穏やかだが危険もある」と話している。

こんなときでも、私は記者だなって思ったりして、
同時に、そんな記事は嫌!
と思ってひらめいた!

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平泳ぎは疲れる。
背泳ぎにしよう。


頭をはるか遠くのビーチに向けて、
身体の力を抜き、ゆっくり、手で水をかきます。
平泳ぎよりも断然、楽で、いい感じ。

少し泳いでは、「そろそろ足がつくかな?」と
大いなる希望を持って、足を海底に伸ばしますが、
ぜんっぜん、届きません。

何度もやると、恐怖が襲ってくるので
これ以上、深さの確認はやめることにしました。

私がここで溺れかけていることを誰も知らない。
とにかく背泳ぎで、体力を温存しつつ、水をかき
ゆっくりビーチへ向かうのです。
それだけが唯一、命をつなげる方法です。


私、背泳ぎは教わらなくてもできたんだよな。
確か、市の大会に出て6位だったな。

……微妙。

でも、背泳ぎに変えたら、
ちょっと体力が回復した気がする。
まだ余力がある。大丈夫。

空を見ながら、水をかいていると、
ビーチのにぎやかな音がかすかに聞こえてきます。
あるいはそんな気がしていただけかも。

でも、まだまだ遠い。叫んでも届かない。
もっと近くへ、近くへ。

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そろそろ、いいんじゃないか。
深さを確かめてみよう。
ぐぐーっと、足を伸ばします。
顔まで浸かるとーー、

やった! つま先が触れた!

でも、用心用心。
また深くなるかもしれないし。

慌てず、ゆっくり、確実に泳ぐのだ。
あの記事は誰にも書かせちゃいけない。


泳いで、泳いで、
進んで、進んで、

とうとう「もう大丈夫」と思えたときでした。

遊覧船が離れたところにやって来ていて、
「Are You OK~~?」と、
船員らしきお兄さんが私に向かって叫びました。

私は「大丈夫」と思ったところだったので、
「OK!」「No Problem!」と叫び返しました。

だけど、内心ではこう思っていたんだっけ。

「遅いって!」(笑) 

親切なお兄さん、すみませんでした。
そして Thank You Very Muchでした。

さらに、もう少し背泳ぎをして、
ついに、足がしっかり着くところまで来ました。

私は、生還しました。

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にぎやかなワイキキビーチは、
人生を謳歌している人たちであふれていました。
私にまとわりついていた死の影は
ワイキキの明るい風に吹かれてあっけなく消えていきました。


この生還物語、
一緒に行った人には言いませんでした。
実は、ある新聞が母体の、雑誌の取材旅行中のことだったので、
自分がアホすぎて、取材の同行者には言えなかったのです。

取材はすべて終わっていて、
空港に行くまでに時間があるから、
一度くらい海に入って帰ろうということになったんですけど。

そんな背景があったので、
溺れそうになったとき、
取材母体の新聞に死亡記事が載るのは
シャレにならないな~と思ったのです。
不思議と冷静でした。

~  ~  ~

時間がたった今 言いたいのはこれです。

*穏やかな海にも危険が潜んでいる
*万が一のときは「背泳ぎ最強!」

必ず、背泳ぎを思い出してください。
平泳ぎのままだったら、私、今 いないかもです。

もうすぐ夏休みが終わるけど、
水の悲しい事故がこれ以上、起きないことを切に願います。

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経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子でした。

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