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書評ブログ「インクの匂ひ」 vol.2

部類の本好きのわたし。どうせなら読んだままにせず思いっきり主観の入った書評を書いてみたいと思い立ちました。この記事がきっかけとなり、実際に読んでくださる方がいたらとても嬉しいです。

≪読み終わった本≫
『家族という病』 下重暁子

この本を手にしたのは、著者:下重暁子さんのファンだから。下重さんの歯に衣着せぬ文体で冷静に物事をとらえるところが好きなのです。こんなこと言うと下重さんに失礼だけれど、何冊か彼女の本を読んでいますが、考え方が私と似ているなと感じることがあります。読みながら”そうそう”って頷いたりしたりして…。今回のテーマは「家族」下重流の家族に対する考え方をのぞいてみましょう。

≪読み終わって…感想≫
あなたは家族のことをどれくらい知っていますか? ”家族” と聞くと唯一無二の繋がりであり、鉄板カテゴリーのような感じがしますが、実はただ単に血のつながりがあったり同じ屋根の下で生活しているというだけで、本当は何を考えているのかなんて分かりはしません。

著者の下重さんは家族のことを避けて生きてきたと書いています。もともと画家志望だったが親から陸軍士官学校への進学を強制され、やがて戦争に駆り出されることになった下重さんの父。絵の道を諦めきれないでいた父だったが結局は教育された軍人の考えが体に染みついていた父親のことを著者は避けるようになります。そのお父さんと対立していたお兄さんのことも次第に避けるようになり、著者は家族と一線を引いて生きてきました。

そんな下重さんは日本人の家族に対するありようについても述べています。家族だから他の誰よりも通じ合えていると思いがちですが、実は ”家族”というカテゴリーのために人はその繋がりに苦しめられることも。下重さんは家族というものは「もっとも近くて遠い存在」だとし、「家族に血のつながりは関係ない」とも言っています。

しかし、若くて健康なうちは家族の繋がりを実感することなく個個人として生きていけますが年老い、自分のことが自分でままならなくなった時、病にかかったときには否応なく家族の助けが必要となるのかもしれません。とはいえ、実際は家族の繋がりが希薄になっているこの時代はその家族の助けを借りることも難しくなっているのかも。

そうなると、家族という繋がりを当てにするのではなく、一人の人間として心が繋がっている関係を築くことがとても大切になるのかもなぁと思いました。

≪あとがき≫
家族に対して一歩引いた姿勢をとる下重さんですが、冷たいのではなく家族というものに甘えず自分の考えをキチンと持ち合わせているだけなんだと感じました。

この、『家族という病』には続編があります。もちろん既に手にしており、私の本棚に設けられた積読本コーナーに他の多くの本と共に次に読まれるようにと控えています。

その感想についてはまた今度…。



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